●東京ゲームショウでは“RPG”を感じられる最新トレーラーを公開
2016年8月17日~21日(現地時間)ドイツ・ケルンにて、ヨーロッパ最大級のゲームイベント“gamescom 2016”が開催。会期初日のビジネスデーにあたる8月17日、『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』に関して、プロデューサーの齊藤陽介氏と音楽を担当する岡部啓一氏に合同インタビューする機会をいただいたので、その内容をお届け!
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▲プロデューサーの齊藤陽介氏(右)と音楽を担当する岡部啓一氏(左)。そして齊藤Pを見上げるように2B。 |
■テーマ曲以外の曲も歌い手が違うバージョンが存在
――昨年のParis Games Weekはパリのゲーマーに熱烈な歓迎を受けていましたが(→こちら)、ドイツの“NieR熱”といいますか、盛り上がりはいかがですか? まだプレス対応しかされてないタイミングですけど。
齊藤 こちらのメディアの方々も、音楽の面から言うと、こっちでもコンサートができるんじゃないかくらいの期待感を抱くほどの熱心さを感じますね。世界共通で岡部さんは褒められますね。
岡部 いやいやいや。ドイツの方々にも気を遣わせているなと思いながら、(お褒めの言葉を)ありがたく受け取っています。海外でのコンサートは夢ですね(笑)。
齊藤 ウチのスタッフからも「やろう」という声はあるんですが、実際にやるとなると及び腰になるんじゃないかと(笑)。国内だけでもたいへんだったですし(笑)。
岡部 たしかに、たいへんでした(笑)。私もそうでしたが、コンサートに携わる方々もたいへんでしょうし、それを春のコンサートでリアルに実感しました。それが海外となると、さらに……。でも、夢だけは持ち続けようかと(笑)。
齊藤 『NieR:Automata』が海外でも売れてくれれば、きっと実現できますよ。
――ぜひ、実現していただきたいです。欧州メディアからは、どんな質問が多かったですか?
齊藤 前作とどう変わったのか、という質問が多いですね。
岡部 現状、『NieR:Automata』の音楽はほとんど聴いていただけてないので、前作と比べてどうなんだ、ということはよく聞かれます。
――gamescom開催に合わせて、ジュニーク・ニコールさんバージョンとエミ・エヴァンスさんバージョンのテーマ曲が公開されましたが。
岡部 4月のコンサートのときに、新しい『NieR』の要素のひとつとして、ジュニーク・ニコールさんが歌うテーマ曲を聴いていただいたのですが、今回、エミ・エヴァンスさんが歌うテーマ曲を聴いていただければ、前作の『NieR』らしさもあるな、と感じてもらえると思います。
――たしかに、エミさんのバージョンはピアノが奏でられていて、歌詞も未来語ですかね? どこの国の言葉でもない歌詞になっていて、前作の『NieR』っぽいなと感じました。
岡部 あと、前作もそうでしたが、テーマ曲以外の曲も、歌い手が違うバージョンがいくつかあるんですが、エミさんのバージョンを公開することで、今回もそういうことをやっていますよ、というメッセージになるかな、とも考えました。そういう意味では、ちょっとずつ具体的なイメージを持ってもらえるようにはなってきたかなと思います。
――先日お話を伺ったときは(→こちら)、gamescomまでにレコーディングを終えることが、gamescomに連れて行ってもらう条件、というお話でした。こちらに来てらっしゃるということは……?
岡部 あの……いちおう、ドイツに発つ日の朝まで作業をして、ひと通りは終わったんですけど……。
――けど?
岡部 ちょっとした作業のところは帆足に任せて、飛行機に飛び乗りました(笑)。こちらに着いたら、帆足(圭吾氏)から「ここのデータはこうなってますけど、これは大丈夫なんですか?」みたいなメールが来ていて(苦笑)。「この歌のここの部分を録り忘れてる!」というところもあったので、そういった細かい部分をドイツから戻って作業する感じです。もう、完成が見えた状況です。
齊藤 あとは実機上での調整ですね。音が鳴り出すタイミングであったり、そのときこのチャンネルは消して……とか。
岡部 ジュニークさんとエミさんの歌を比較したとき、ジュニークさんの歌声は力強いので、ミックスや音場の処理でバランスを取ったり。もともとジュニークさんの歌は、エミさんの違いを際立たせるため、より力強い処理をした部分もあったんですけど、「バランスを取ったほうがいいな」と感じるのは、ゲームに入れてから実感する部分だったりするので。
――ソフトの発売は2017年初頭予定ですが、この時期に音楽がほぼ完成している、というのは、ゲーム開発においては、早いほうなのですか? 遅いほう?
岡部 遅いほう……だと思います(小声)。
齊藤 いや、私が知っている限りでは、ふつうだと思いますよ。でも、『NieR』の場合、ストリーミングで音楽をただ流すだけではく、ゲーム内でいろいろ変化を付けるので、そこの調整期間が必要というのはあります。とりあえず仮のものを入れて、あとから差し替える、ということがやりづらいんです。
岡部 本当はもう少し早い時期に仕上げて、ゲーム内で調整する期間に余裕を持たせる予定だったんですが。
齊藤 予定より2ヵ月押したくらいです(笑)。
岡部 その分、ヨコオさんとプラチナゲームズさんがたいへんな思いをする、ということになってしまっています。申し訳ない!
齊藤 重視すべきはクオリティーですから。
岡部 お待たせしちゃった分、自分でも「いいな」というものにはなりました。音楽が、ヨコオさんとプラチナゲームズさんの今後の開発のモチベーションのひとつになってくれればと思っています。
■Steam版もついに発表
――gaemscom直前に『ファイナルファンタジーXV』の発売が2016年11月29日に変更になるというアナウンスがありましたが、『FFXV』の発売日の変更は、2017年初頭発売予定の『NieR:Automata』にも影響はありますか?
齊藤 現状、発売日への影響はないと思います。
――制作は順調に進んでいるのですか?
齊藤 はい。ただ、今回は世界同時での発売(Steam配信のPC版含む)を目指していて、日本版は大丈夫なんですが、海外版のQA(Quality Assuranceの略。品質保証)で何か問題が発生しないか心配ではあります。
――SteamでのPC版のアナウンスもありましたが。
齊藤 海外ではPCゲーマーも多いので、SteamでPC版を配信することを決めました。日本でも購入できるようにする予定です。
――PC版は4K対応なのですか?
齊藤 まだ未定ですが、頑張りたいと思ってます。ただ、『NieR:Automata』は60フレームで動いているので、4Kで60フレだと、PCの推奨スペックがスゴイことになりそうですが……。
――では、最後に……。今回も前作にあった最後の仕掛けはあるのでしょうか?
齊藤 「やるんですか?」とか「まさかないでしょう?」と皆さんが言えば言うほど、ヨコオさんが何か企むかもしれません。不用意なことは言えない(笑)。
岡部 「押すなよ、押すなよ?」みたいなことに(笑)。
――あれ以上のことも考えているのですか?
齊藤 皆さんが期待しているのなら、期待しているようになるんじゃないですか?(笑)。ヨコオタロウはそういう男ですから。
――東京ゲームショウでは、どんなことを予定されているのでしょうか?
齊藤 いままではアクションを中心に見せてきましたが、“RPG”的な印象を受けるトレーラーが公開できると思いますので、それを楽しみにしていただければ。
――試遊版の出展は?
齊藤 ユーザーの方に触っていただく機会は、たとえば体験版などがいいかなと考えています。十数分の短い時間で体験してもらうよりは、体験版で30~40分くらいは腰を据えて遊べるくらいボリュームで、しっかり『NieR:Automata』を体験してもらいたいんです。
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▲E3 2016で公開された歌うボスのバトルでも印象的な音楽が。本作の音楽はすべて声入りとのこと。 |
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▲ポットのデザインもメインキャラクターのデザインを担当した吉田明彦氏のデザインとのこと。さらに、3Dモデルのレタッチも吉田氏が監修しているという。 |
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※画面は開発中のものです。