シリア監獄で暴行 1万8000人近くが死亡=人権団体
- 2016年08月18日
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは18日、シリア政府が運営する監獄や勾留施設で暴行やレイプが横行しており、2011年から15年にかけて1万8000人近くが死亡したとする報告書を発表した。
アムネスティは報告書で、「拷問を生き延びた」65人が監獄などでの恐ろしい虐待の実態を語ったという。
証言によると、監獄に入れられてすぐ、看守に金属棒や電線で激しく暴行されるのは珍しくないという。このような暴行は「歓迎パーティ―」と呼ばれている。
シリア政府は繰り返し、拷問の事実を否定している。
アムネスティ報告書の推計では、アサド政権に対する反乱が始まった2011年3月から昨年末までに、シリア全土で少なくとも1万7723人が拘束下で死亡した。毎日約10人が殺害された計算だ。
報告書によると、新しく刑務所などに入ると、男性看守による「安全検査」と呼ばれる性的暴行が、特に女性を対象に行われている。
ハマ出身の弁護士「サメル」さんは、アムネスティーの調査に対して、「動物のような扱いを受けた。私たちの人間性を極力、奪おうとしていた」と語った。
「血が川のように流れるのを見た(略)人間性がここまで落ちるとは思っていなかった」
「ジアド」(仮名)さんは、情報機関の施設で空調が止まり、1日に7人が死ぬのを目撃したと話す。「連中は私たちを蹴って、生きているか死んでいるか確かめていた」。
報告書ではほかにもシリア政府の拘束を経験した人たちが、タイヤの中に押し込まれたり、足の裏を鞭で打たれたりしたと話している。アムネスティーはシリア政府が常に囚人に医療を提供せず、体を洗うことも許さないと批判する。
アムネスティで中東・北アフリカ地域を統括するフィリップ・ルーサー氏は、「何十年にもわたってシリア政府軍は、反対派を押しつぶす手段として拷問を使ってきた」と述べた。
「拷問は現在、反政府とみられた民間人が誰でも標的となる、組織的で広範囲な攻撃の一環として実施されている」
アムネスティなどの人権団体は、シリアの和平協議を主導する米国とロシアをはじめとする国際社会が、シリアで拷問が行われているという指摘について、早急に話し合うべきだとしている。
国連は今年2月に、シリアが拘束者数千人を絶滅させる政策を国策として実施したと非難し、内戦で戦う双方に戦争犯罪の疑いがあると指摘した。
(英語記事 Nearly 18,000 died in Syria state jails in 2011-15, says Amnesty)