リオ五輪公園の空中カメラ落下、7人が軽傷 時間ずれていれば大惨事に

2016年8月17日6時0分  スポーツ報知
  • 五輪公園内で落下した、空中のケーブルを移動するテレビカメラ(手前)。事故後にフェンスで囲まれた(共同

 リオ五輪のメイン会場「五輪公園(オリンピックパーク」内で15日午後(日本時間16日午前)、ワイヤで高さ約20メートル上空に吊(つ)られていた重量100キロを超える空中カメラが地上に落下し、7人が軽傷を負う事故があった。落下地点はレスリング会場とバスケットボール会場の目の前で、時間がずれていたら大惨事になっていた可能性もある。ワイヤに不具合が見つかった直後の事故で、管理態勢のずさんさが指摘されている。

 「私のカカトに稲妻が落ちてきたかと思ったの」

 カメラの破片に当たって負傷した女性は突然の恐怖体験を涙ながらに振り返った。五輪のメイン会場のど真ん中で発生した空中カメラの落下事故。当時、現場周辺にいた約40人の観客たちはパニック状態に陥った。響き渡る悲鳴。カメラ付近に残された血痕。顔から血を流す女性もいた。

 地元メディアによると、15日午後1時半頃、メイン会場「五輪公園」の中央に位置するバスケットボール会場とレスリング会場の間にある通路に巨大カメラが落下した。歩行していた7人がカメラの破片や落ちてきたケーブルに当たって顔や足などに軽傷を負い、病院に搬送された。負傷者には8歳と11歳の女児もいたが、日本人は含まれていなかった。

 奇跡的にもカメラ本体が直撃した人はいなかった。わずか約30分前の現場はレスリング会場に向かう人であふれており、落下する時間がずれていれば大惨事になっていた可能性もある。

 上空約20メートルから落下した重量100キロを超えるカメラは、世界各国に国際映像を提供する五輪放送サービス(OBS)が所有する空中カメラ「スパイダーカム」。本体から4方向に延びるワイヤによって支えられたカメラを、技術者が操作しながら撮影する。縦横無尽に動き回ってダイナミックな映像を提供することが可能で「空飛ぶカメラ」とも呼ばれている。

 2000年に登場し、サッカーなどのスポーツの現場やライブ会場で使われてきた。五輪でも主に08年の北京大会から用いられるようになり、今大会も競泳やバレーボールなどの会場に設置されている。落下したカメラは、五輪公園全体を俯瞰(ふかん)する映像を撮影するためのものだった。

 OBSなどによると、事故発生前に4本のワイヤのうち1本に不具合が生じたことが明らかになったため、カメラ下部の現場一帯にフェンスによる囲いを設け、人が入れないようにする作業を進めていたが、作業の最中に突然落下したもようだ。落ちた地点はフェンスの外側だった。

 落下したカメラは約2キロ四方にわたってワイヤを張っていたため、通常のものよりも負荷がかかっていたことを指摘する声も上がっている。

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