20年会っていない父の「葬儀費用100万円」を求められた! 負担する義務はある?
20年前に会ったきりの父親が亡くなり、葬儀費用100万の支払いと遺骨や遺品などの引き取りを求められているーー。そんな悩みが弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。
両親は35年前に離婚しており、投稿者の男性と父親が最後に会ったのは20年前のことです。協議離婚でしたが、父親は家にあったお金を全て持ち出し、養育費も支払っていません。父親の兄弟から亡くなったと知らせを受けたときも、男性は関わりを持ちたくないと考え、相続放棄の手続きをしました。
両親が離婚した後でも、その子どもは葬儀費用を負担する義務はあるのでしょうか。また、遺骨や遺品を引き取る義務はあるのでしょうか。橋本有輝弁護士に聞きました。
● 葬儀費用の負担には、法律上明確な規定はない
結論から言えば、相談者には葬儀費用を負担する義務も、遺骨・遺品を引き取る義務もありません。
まず、葬儀費用や埋葬費用を誰が負担すべきかについて、法律上明確な規定はありません。一般的には、葬儀や埋葬などに関する費用は、祭祀承継者が負担すると考えられています。祭祀承継者とは、墓を管理したり、年忌法要等を主催したりする人のことを指します。
この考えによれば、葬儀を主宰していない相談者は、葬儀費用を負担する必要はありません。祭祀承継者は被相続人による指定や慣習、家庭裁判所の調停や審判で決まります(民法897条)
この点で、相談者は父親から祭祀承継者に指定されておらず、20年間も交流がない相談者に祭祀を主宰させる慣習は存在しない可能性が高いことから、葬儀費用を負担する義務はありません。
また、遺骨については祭祀承継者が管理すべきと判断した最高裁判所の判例があり、遺骨を引き取る義務もありません。遺品についても、父親が生存中に所有していた物は相続財産にあたることから、相談者は相続放棄をしているので、引き取る義務はないでしょう。
今回の判断には、両親の離婚という事情はほとんど影響しないと言えるでしょう。