「学ぶ姿勢」を学ぶ

学習を成功に導く4つの特性

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目まぐるしく変化する世界で成功するためには、単なる読書や教室での講義による知識の獲得ではなく、新たな物事に対する偏見に抗い、成長の機会を求めて周囲を見渡し、従来とはまったく異なる能力を身につけようとする学びの姿勢が求められる。筆者がコーチング等を通して企業幹部を調査したところ、この種の学習に成功した人たちには共通する4つの特性があることがわかった。そして、願望、自己認識、好奇心、弱みを受け入れる姿勢というこの4つの特性は、ある心理的なツールを使えば、誰にでも身につけることが可能なのだ。
『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2016年9月号より1週間の期間限定で公開中。

 

成功と学習の関係

 現在の組織を取り巻く状況はたえず変化している。業界の再編が進み、新たなビジネスモデルが出現する。新技術が開発され、消費者行動が変わる。変化の速度は増す一方なので、企業幹部にとっては極めて荷が重い状況となるだろう。会社の運営方法や業務遂行の方法における重大な変化を理解し、素早く対応するように迫られているからだ。経営理論家のアリー・デ・グースの言葉を借りるならば、「持続する競争力とは、競合他社より素早く学ぶ能力だけかもしれない」という状況である。

 学ぶといっても、私が言いたいのはくつろいで読書をすることや、教室で系統立った講義を受けることではない。本稿で取り上げる学習とは、現在の業務を進めつつ、新たな物事に対する偏見に抗い、成長の機会を求めて周囲を見渡すことや、従来とはまったく異なる能力を身につけるようにみずからを鼓舞することである。そのためには新たな取り組みを率先して試す気持ちと、幾度となく初心者の立場に引き戻されることをいとわない心構えが問われるのだ。そう聞くと、ほとんどの人はひどく不安になるだろう。

 ところが私と同僚は長年にわたり、さまざま業界で活躍する企業幹部数千人のコーチングとコンサルティングを行い、この種の学習に成功した人々と実際に出会っている。そして、彼らに間違いなく備わっている4つの特性を突き止めたのだ。

 具体的には、願望を持っていること、自己を正しく認識していること、好奇心があること、自己の弱みを受け入れることの4つである。つまり彼らは新たなスキルを学び、使いこなしたいと切望しており、自分自身をはっきりと見据えている。なおかつ、常に的を射た質問を思いつき、尋ねる。学ぶ過程で間違いを犯しても我慢するのだ。

 これらを自然に実践できる人もいれば、そうでない人もいるのは当然だ。しかし我々は、顧客に対するコンサルティングやコーチングの結果と心理学および経営学の研究に基づき、非常に簡単な心理的ツールを考案した。これを使えば、誰もが4つの特性をすべて育むことができる。そればかりか、(願望や好奇心、弱みを受け入れることのように)終始一貫して変わらないと見なされがちな特性に対しても有効に働きかけるのだ。

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