辞職
とても安定していて、お給料も悪くない仕事を辞めました。
辞職理由
仕事に対する不満は人並みくらいでした。不満ゆえに辞めたというよりは、次のステップを楽しみに思って辞めたという感じです。
辞職するにあたり考えていたことは、次のようなこと。
- 楽しい、価値があると思える仕事がしたい。
- 労働時間を短くしたい。
- 専業以外にも仕事を持ちたい。
- 上司の判断で全て決めるのではなく、自分の責任のもと、自分で意思決定をしたい。
- 海外に住みたい。
こういう欲求を持っていました。もちろん、これら全てを一気に実現するためには、能力・モチベーション・健康の全てを超高次元で兼ね備えた超人が社長(または個人事業主など、上司が存在しない形態)になるくらいしか方法がありません。だから、現時点で全部実現するのはひとまず諦めて、これらを実現するために、独立してもやっていけるスキルを身につけるという方向性で次のステップを探していました。
そして、現実的にとりうるなかでは比較的満足のいく次のステップが見つかったので、辞めることにしました。
退職する意志の表明
これはとてつもないイベント。中学生の告白と同じくらい緊張した。保守的な職場だし、辞めたいなんて一言も匂わせたこともなかった。前日の飲み会でも、上司は「あなたはこれから偉くなるんだから~~~」と期待を込めていろいろなお話をしてくれていた。
業務終了後の夕方、自分と上司二人だけになった部屋で、どのように切り出すか悶々と15分ほど過ごしたと思う。
上司の帰り際、「大変なお話があるのですが…」と切り出した。近くの机についていただき、「これまで何も分からないところから育てていただき、大変お世話になったのですが…」と。
そこからは矢継ぎ早に上司の質問を受け、慎重に言葉を選びながら答えた。上司からは、「もったいない」「この時期に抜けられると、残された我々が困る」「海外に行きたい気持ちは分からなくはない」といった言葉が出てきた。想定していた中では比較的あたたかい部類の言葉をかけられたと思う。
申し訳ない思いと、それでも自分は自分のためにこのわがままを貫き通さなければならないという意志を戦わせながら話した。さらに上の上司もまだ職場にいたので、トントン拍子で話は進み、希望通りのタイミングで辞めさせていただけることになった。
うまい退職のしかた
自分にとって初めての退職だったし、同期で自分より先に退職した人もいなかったので、どうしていいか分からなかった。今回経験して、いくつか分かったことがあるので未来の自分のためにも備忘録として記しておく。
- 退職の可能性が高ければ高いほど、退職を匂わせておいた方がいい。
- 次の道を決め、そのために必要以上の準備をしてから退職した方がいい。
- 1ヶ月半くらい前にははっきりとした退職の意志を伝えるべき。
- 退職の意志はなるべく低姿勢で伝えるべき。
もちろんこれは各人の就業環境によるのだけど、自分のように組織が大きく安定していて、それまでの職場内の人間関係が悪くない場合にはこのような形をとるのがいいと思う。
1について、自分は全く退職を匂わせていなかったために、退職の意志の表明がかなりドラマチックになってしまったし、ギリギリまで言い出せなくなってしまった。もちろん、退職の可能性が低いのであれば、退職を匂わせることによって評価や人間関係に影響したりといったことがありえる。この辺のバランス感覚は難しく、万事円滑に進めるのは困難なように思う。
2について、ぼくは次の就職先が決まる前に退職願を出してしまった。可能であれば、次の就職先を見つけてから退職願を出すのが絶対に良い。ぼくは幸いにもすぐに次の就職先が決まったが、退職日になっても次の仕事が決まっていないと、かなり焦る。「焦って転職活動すれば待遇は確実に落ちる」と思った方がいい。
また、辞めたあとに就職をしない場合であっても、準備すべきことは山ほどあるはずだ。働いて給料をもらいながら準備ができるのであれば、そうした方が絶対に良い。
万全の準備をしよう。
3について、十分な期間があった方が、会社側もいろいろな準備をしやすく、そのほうが自分が辞めることに対する風当たりも弱まると考えられるので、早めに伝えることは双方にとって良いことだと思う。
4について、毅然とした態度をとることも大事なのだが、退職意志の固さは低姿勢でも示せる。なるべく反感を買いにくい態度で、なおかつ固い意志を示すようにしたい。
次のステップ
アジアのとある国で就職し、10月から働くことにしました。自分の武器である英語力をさらに磨いて絶対的なものにするために、英語を主に使用する職場を選びました。また、どの業界でも共通する部分が多く、外資系での転職活動が比較的容易であろう職種を選びました。
5年後、10年後といったスパンで先を見たときに、自分が独立する(=雇われない道を選ぶ)かどうかは、まだ分かりません。
雇われマンとして働き続ける可能性も十分にあります。その場合はアジアを転々としたり、可能性があればヨーロッパに行ったりしたいです。当分は日本に戻ってこないつもりでいますが、その辺は流されるままに動く部分と意志を貫く部分をその場で判断しながらやっていきます。
仕事を辞めたい人・新卒フリーランスになりたい人へ
あなたが思っているほどその道は甘くない
一生独身でもいいのでなければ、30歳、40歳になっても月収20万円ではとても生活していけません。いま40万円、50万円稼げていて、しかもそれが最低でも10年は続く見込みがないのであれば、雇われ保護される環境を捨てるのはおすすめしません。雇われている限り、どんなにやる気がなくて惰性で働き続けても、一定のお金と、実際は別にせよ、外から見た「スキル」は勝手にたまっていきます。こんなに良いことはありません。
それに、歳をとるにつれ、いつ健康を損なうか分かりません。急に靭帯断裂・骨折・心筋梗塞を起こしたりして、労働機会の損失や治療費をあわせて数百万円単位のお金を失うかもしれません。
新たなスキルを身につけるのも大変になっていきます。あなたが持っているスキルが市場で価値を持たないようになるかもしれません。特に、あなたが持っているスキルがネットを使って稼ぐことなのであれば、そのスキルは10年以内に陳腐化する可能性の方が高いでしょう。20代であれば、新たに次のスキルを習得すればいいですが、40代から新しいことを学ぶのは相当に困難です。
20代のうちは多少辛くても、40代、50代になっても陳腐化しないスキルを身につけることに自分の時間を投資すべきです。または、その投資先がまだ見つかっていないのなら、見つけるためにいろいろな荒波に揉まれてみるべきです。
人と違う道は険しい道
ぼくは一流といわれる大学を卒業し、TOEIC990点を持っていますが、それでもアジア就職という人と違う道を歩むにあたり、待遇面では現環境より(捉え方次第ですが)落ちることになります。
それでもわくわくを優先して、また自分の能力を信じてこの険しい道を選びましたが、万人におすすめすることはできません。よほどのこだわりがないのであれば、人と同じ安心できる道を逸れない範囲で、自分らしく趣味を追及して生きるのがいいと思います。
親を心配させたくなければ、特に。
最後に
ぼくは納得してこの道(安定した職を捨て、アジア就職する道)を選びました。
半年後、1年後、3年後、10年後にもこの選択に納得しているのか、それとも後悔しているのかは今のところ予測しようがありません。
この数週間のあいだに、働くということ、会社と従業員の(理想的な)関係についてかなり深く考えることになりました。そのことについても、時間を見つけて書いていくつもりです。