【イスタンブール=佐野彰洋】トルコ政府は17日、服役中の一般受刑者3万8千人を釈放すると発表した。7月のクーデター未遂事件を巡り、反政府勢力の大規模な逮捕に乗り出しており、それら政治犯を収容するための施設を確保する必要に迫られていた。恩赦ではなく、殺人や性犯罪、テロ行為などで有罪判決を受けた受刑者は対象外という。
一般受刑者の釈放はクーデター事件後に発令した非常事態宣言に基づく措置。これとは別に、警察官や軍人ら約2700人を新たに解雇処分とし、通信の監視を担っていた機関の閉鎖も決定。大統領が軍トップを幅広い将軍から任命できる権限強化策も盛り込んだ。いずれも軍の権限をそぐ狙いがある。
エルドアン大統領は事件直後の7月20日に3カ月間の非常事態を宣言した。議会審議を経ずに、法律と同等の効力を持つ政令を出すことが可能となり、クーデターへの関与を断定した米在住イスラム教指導者の支持者とみられる勢力の大規模排除を続けている。