小池新都知事 vs. 東京都の「ドン」の行方
小池百合子都知事が、都知事選で公約としてきた「都政の利権や闇の追及」が、上山信一慶応大学教授ら「都政改革本部」のメンバー5人によって解明されることになった。当初想定の私的懇談会ではなく、都庁内の正式な組織として立ち上げられ、メンバーは都の顧問となる。
上山氏は橋下徹元大阪市長の有力ブレーンとして名を馳せた人。他に、都知事選で小池氏を支持した若狭勝代議士(元東京地検特捜部副部長)の側近で元検事の坂根義範氏、債権回収のプロである須田徹公認会計士らも名を連ねており、かねて指摘されてきた内田茂前自民党都連幹事長らが築いてきた利権構造にメスが入れられる。
東京都利権とは何か。それにはまず、東京都の特殊性を理解する必要がある。
財源が豊かな東京都は、全国で唯一、地方交付税交付金を受け取っていない自治体である。「ヒモ付きの補助金」に頼らなくて済むということは、「永田町」と「霞が関」に陳情に行く必要がないし、制約を受けることもない。だから都議が強い。
今回、小池氏の「敵」を仕立て上げる戦略によって内田茂という「ドン」が、突然浮上したが、都政には常に、代議士が束になっても敵わない大物都議がいて、都下の公共工事や大型プロジェクトを仕切ってきた。
内田氏の前には、藤井富雄氏がいた。都議会では自民党と並ぶ力を持つ公明党の絶対権力者。1955年の練馬区議選に初当選して05年に引退するまで、約50年間も東京都の政治と行政に関与、しかも暴力団とも渡り合う清濁併せ呑む人柄で、「藤井先生に挨拶しなければ、都の事業は一歩も進まない」というのが、都の幹部やゼネコンなど業者の共通認識だった。
内田氏の浮上は、「藤井引退」を機に都議会の権力構造が変わったためで、そこには都知事はもちろん、東京都選出国会議員の力も及ばなかった。
99年の初当選以降、実力と人気を誇った石原慎太郎元都知事だが、側近の浜渦武生副知事が公共工事の仕切りに口を挟むようになると、内田氏の怒りを買って百条委員会を立ち上げられ、05年、浜渦氏は失脚した。石原都知事の息子の伸晃氏は、長年、都連会長を務めたが、「神輿に載っているだけの人」というのが都議会関係者の常識だった。
その源流を遡れば、終戦直後、GHQ(連合国総司令部)から、色街の警護、飲食業界の取りまとめ、興行界の仕切りを委ねられた新田新作氏にぶち当たる。
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