伊調が金 史上初の4連覇 レスリング女子58キロ級

伊調が金 史上初の4連覇 レスリング女子58キロ級
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リオデジャネイロオリンピック、レスリングの女子58キロ級で伊調馨選手が金メダルを獲得しました。女子の個人種目では史上初のオリンピック4連覇です。
伊調選手は「内容はあまりよくなかったが、多くの人に喜んでもらえたのはよかった」と話しました。そして、決勝が終盤の逆転勝ちだったことについては、「相手がタックルに入ってきてくれて、最後のチャンスだと思った。ポイントを取りに行って、取ることができてよかった」と振り返っていました。

伊調選手 これまでの歩み

伊調馨選手は青森県八戸市出身の32で、姉の千春さんなどの影響で3歳の時、地元のクラブでレスリングを始めました。愛知県の高校・大学に進み、大学では先輩の吉田沙保里選手とともに、練習に明け暮れました。
オリンピックに女子が初めて採用された2004年のアテネ大会で63キロ級の初代女王に輝き、48キロ級で銀メダルを獲得した千春さんととともに姉妹でメダルを手にしました。長い手足と懐の深さを生かした守りの強いレスリングで北京大会でも金メダルを獲得、千春さんも再び銀メダルを獲得し、2大会続けて姉妹でメダルを手にしました。
北京大会後、およそ1年間、休養してからは練習拠点を東京に移し、男子との練習を重視して攻撃面を強化し、ロンドン大会で3連覇を果たしました。世界選手権では去年まで通算10回優勝しています。
みずからの「理想のレスリング」を追い求める姿勢が特徴で、去年の世界選手権で優勝した直後のインタビューで自己採点を求められた際には、「25点くらい。30点つけようと思ったが、決勝もあまり、よくなかったので悔しい」と話し、勝敗よりも試合の内容にこだわるスタイルを崩しませんでした。
2003年以来、不戦敗を除いて負けがありませんでしたが、ことし1月にロシアで行われた国際大会でモンゴルの選手にテクニカルフォール負けし、13年ぶりに試合を戦って敗れました。連勝が途切れたあとは「自分を見つめ直すいいきっかけにしたい」と敗戦を前向きに捉えて、攻撃面の基本の動きを見直し、吉田沙保里選手とともに、女子の個人種目では世界初となるオリンピック4連覇を誓っていました。
オリンピックでは今、大会から実施種目が2階級増えて階級区分が変わったため、伊調選手は本来の体重に近い58キロ級で出場しました。

五輪での連覇の記録

IOC=国際オリンピック委員会によりますと、これまでオリンピックの女子の個人種目で4連覇を達成した選手は夏・冬を通じていませんでした。
男子ではアメリカのカール・ルイス選手が、陸上男子走り幅跳びで1984年のロサンゼルス大会から1996年のアトランタ大会まで4連覇しているほか、円盤投げとセーリングでもそれぞれ、過去に4大会連続で金メダルを獲得した選手がいます。
団体まで含めると、男子ではハンガリーの選手がフェンシングのサーブル団体で6大会連続で金メダルを手にしたのが最多で、女子ではアメリカのバスケットボールの選手や、カナダのアイスホッケーの選手が4大会連続で金メダルを獲得しています。
日本は、個人種目では柔道男子60キロ級の野村忠宏選手がアトランタ大会から2004年のアテネ大会まで3連覇したのが最多で、レスリング女子の吉田沙保里選手と伊調馨選手が前回のロンドン大会で、これに並びました。
団体では体操の男子がメンバーが入れ代わりながら、1960年のローマ大会から1976年のモントリオール大会まで5連覇しています。