ロシアが今日もシリアのISISに対して爆撃を行いました。これはバシャール・アル・アサド大統領の陣営を支援するためにやっていることです。

ロシアのツポレフTu-22M3が、バラバラと爆弾を投下している写真がいろんなメディアでこれみよがしに報道されています。

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(出典:ウィキペディア)

このニュースのポイントは、ロシアの爆撃機はイランの基地から飛び立っているという点です。

なぜならイランが外国の軍隊にイランの基地を使用許可するのは、1979年にイラン革命以降では今回が初めてだからです。

イランにとって外国の軍隊が入って来るというのは、歴史的にきわめて微妙な問題でした。第二次世界大戦当時、イランはどちらかといえばドイツに好意を持っていたけれど、外交的には中立の意思を表明しました。

しかしイギリスとソ連はドイツ軍の脅威にさらされない補給路を確保する意図で、イランに攻め込み、シャーは降伏しました。こうしてアメリカを中心とする連合国側はイランを経由し、陸路で膨大な武器や物資をソ連に送り込んだのです。

さて、話を現代に戻すと、これまでロシアはISISに対する爆撃ではロシア本土からTu-22M3を飛ばしてきました。その場合、長距離を飛行しなければいけないので、燃料を沢山積まないといけないし、その分、積載できる爆弾の量は減ります。

この爆撃とは別に、ロシアはカスピ海に配備した艦船から巡航ミサイルをISISに対して打ち込むことに関し、イランから許可を得たと伝えられています。なぜなら巡航ミサイルはイラン上空を横切ってシリアに着弾するからです。

これらのことは(ロシアがイランと仲良しになっている)という印象を与えています。

加えてロシアはトルコとも仲直りしています。先のトルコでのエルドアン追放を狙ったクーデターが起きた際、プーチン大統領は真っ先にエルドアン支持を発表しました。

そんな、こんなでロシアの中東におけるプレゼンスは俄然高まっている印象があります。

ただロシアの中東における関与は、米軍のプレゼンスに比べればまだ限定的であり、主導権を握っている状態とは程遠いです。

ロシア内部ではかなり権力抗争が起きていると推察され、今回のロシアのISIS爆撃は、国民の関心を海外へと逸らす狙いもあると言われています。