内閣改造:尹外相留任、外交安保政策の失敗を認めない朴大統領

外交政策が混乱する中でも尹外相が朴大統領就任以来の「生え抜き」に
「危機が留任を後押し」との見方も

内閣改造:尹外相留任、外交安保政策の失敗を認めない朴大統領

 韓国で16日に内閣改造が行われ、尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部(省に相当、以下同じ)長官の留任が決まった。この結果、尹長官は現在の朴槿恵(パク・クンヘ)政権発足と同時に就任し今なお留任する唯一の閣僚となった。3年5カ月にわたり外相を務める尹長官は、1987年の改憲で大統領制が再任禁止の5年制になって以来、最も長く外相を務めている。また今回は尹長官の留任に加え、外交・安全保障政策担当者もほぼ全員が留任することになった。

 大統領選挙当時から朴大統領を支えてきた尹長官は「決められた指針を忠実に実行し、数字などのディテールにも強い」との評価から、朴大統領の信頼も非常に厚いと伝えられている。また朴大統領就任直後の外交政策が順調だったことも、尹長官の評価に大きなプラスになった。ちなみに外交関係者の間ではかなり前から尹長官に「オ・ビョンセ」というニックネームがつけられていた。「オ」は韓国語で「5」を指すことから、このニックネームは朴大統領の在任期間である5年間、尹長官が外相の地位を維持し続ける可能性があることを意味するものだ。

 しかし朴大統領の任期が半分を折り返した昨年以降、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)加入問題や、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備問題などをめぐって外交政策が迷走し、とりわけ電撃的に妥結に至った日本との慰安婦問題合意では世論の批判も高まり、尹長官の立場も非常に苦しくなった。与党内からも「外交・安全保障政策担当者の交代」を求める声が出ていた。

 しかし実際はこの外交政策の危機的状況が尹長官を含む政策担当者の留任を後押ししたとみられている。朴大統領は今回の内閣改造で外交・安全保障政策担当者全員を留任させた。たとえば「姿が見えない」などと厳しい批判にさらされた大統領府の金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長(閣僚級)、THAAD配備をめぐる混乱の張本人でもある国防部の韓民求(ハン・ミング)長官、中国との摩擦で外交力が問題視された金章洙(キム・ジャンス)駐中大使、通常の任期がすでに過ぎた安豪栄(アン・ホヨン)駐米大使など全員の留任が決まっている。

 ある韓国政府関係者は「世論の批判を意識して閣僚を交代させるのは朴大統領の人事スタイルではない」「もしそのようなことをすれば、自らの外交・安全保障政策の失敗を認めることになるからだ」とコメント。とりわけ今年1月、北朝鮮が4回目の核実験を強行したことによる非常事態や、その後のTHAADをめぐる混乱、米大統領選の影響などで、韓半島(朝鮮半島)周辺情勢が一層複雑化していることから、逆に外交・安全保障政策担当者を交代させられないという現実的な問題も影響したようだ。上記の韓国政府関係者は「今大きな課題に取り組んでいる政策担当者を交代させれば、中国や北朝鮮はもちろん、国内外に間違ったメッセージを送る結果になりかねない。朴大統領はそのような思いが強いようだ」との見方を示した。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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