映画「奇蹟がくれた数式」あらすじ,ネタバレ,レビュー
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あらすじ
独学で数学を学んだインド人の経理職がイギリス・ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの数学の権威ハーディ教授に自分が閃いた“定理”を書いた手紙を送ったことからケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに招かれる。
ハーディと共に研究する内に“定理の証明”の大切さを知ると、一夜で自分の定理を証明してハーディ教授を驚かせる。
やがて第一次世界大戦が始まり、故郷インドに残した妻とは疎遠となるラマヌジャン。
野戦病院と化したトリニティ・カレッジで研究を続けるも結核を患うラマヌジャンは、研究に没頭するために病気のことをハーディ教授に隠し、病を押して“分割数”の研究に没頭。
しかしインドの妻からは別れを告げる手紙が届き…。
インド出身でありキチンとした学位がないのに、ケンブリッジ大学に招かれ、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの芝生の上を歩くことが許されるフェロー=特別研究員にまで上り詰めた実在の数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャンを描いた、実話を基にした伝記映画。
原作はロバート・カニーゲルの『無限の天才―夭逝の数学者・ラマヌジャン』(Amazonへのリンク)。同作は読んでいないのだが、6ページに及ぶ木村俊一氏著『数学の魔術師たち』(Amazonへのリンク)の抜き刷りを読んだら数学は殆ど素人でも面白く読めた。
映画自体には確かに“分割数”とか他にも専門の用語が出てくる。これに関しては数学プロフェッショナルの方にはとても楽しめる内容ではないだろうか。そして素人のtoikunには用語自体は難しかったが、映画の内容としてはロマン溢れるドラマだし、“橋田壽賀子氏作品の様な要素”もあって、面白可笑しくも観ることが出来た。
1920年に亡くなったラマヌジャンが残したモノが1世紀経ってやっと今注目をされているという話も伺った。今をときめく1世紀前の数学者をスクリーンで楽しむのはロマンチックだなぁ。
「スラムドッグ$ミリオネア」のデヴ・パテルと、「運命の逆転」のアカデミー賞ウィナー、ジェレミー・アイアンズの共演、映画ファンとしては堪らなかった!
“女神が定理を導いてくれた”とのセリフのあるラマヌジャンと、無神論者のハーディ。“神”に関しては正反対の2人の共同研究は果たしてどの様な結果を後世に残したのか?
トロント国際映画祭2015に正式出品されてミニシアター系でスマッシュヒットを続けて、この10月にやっと日本へと上陸するという話題作。
正式公開は10月22日(土)で、角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、角川シネマ新宿他全国ロードショー!
公式サイトには上述した広島大学大学院の木村俊一教授の魅力タップリのエッセイもあるので、映画に足を運ぶ前に是非ドウゾ!
本作公開の丁度一ヶ月前、9月22日には、本作のジェレミー・アイアンズが「007/慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコと共演したラブストーリー「ある天文学者の恋文」も公開される。
今秋は、本作と同作で違った分野ながら教授という役柄を演じたアイアンズの秋かな♪
配給:KADOKAWA
ストーリー・ネタバレ
1914年のインド・マドラス。当時のインドはイギリスの植民地であり、ここマドラスでは、イギリスからやって来たサーの称号を持つフランシス卿が大英帝国に関する雑事を行っていた。
そのフランシス卿が仕事を行う屋敷にS・ラマヌジャンというインド人青年が訪れた。妻ジャナキと結婚をしたばかりのラマヌジャン。学位はないものの独学で数学を身につけたというラマヌジャンは、自分を経理職として雇ってくれるように方方を訪ねるが、やはり学位がない彼はツマミ出されてばかりいた。
今、ラマヌジャンは妻と住んでいるのではなく男友達と住んでいる。稼ぎがないのだから当然と言える。
そんなラマヌジャンがフランシス卿の屋敷にやって来て、彼の元で働くインド人中年のナーラヤーナに気に入られてここで働くことになった。何故、ラマヌジャンは気に入られたのか?それは分厚い数学の本を持ってきて、興味のあるナーラヤーナに教えると言うことで気に入られたのだ。定職に就いたラマヌジャンに“妻を呼び寄せろ”と提案するナーラヤーナ。だが彼らの一連のやり取りを見ていたフランシス卿は、まるで物乞いの様な格好であったラマヌジャンを一目では好くことはなかった。
男友達との暮らしを止め、立派な借家を手に入れたラマヌジャンは妻ジャナキと母コーマラタンマルを呼び寄せた。自分の身分に合わないと思ったのか、戸惑うジャナキがいた。妻と母をおいて早速ラマヌジャンは仕事へと出かけた。念願の経理職として働くラマヌジャンだが彼にはソロバンは要らなかった。暗算でやった方が断然早く計算が出来た。ラマヌジャンの能力を素晴らしいと認めるナーラヤーナだが、“フランシス卿の前ではソロバンを使っているフリをしろ”と助言をした。
夜になっても職場で数学の話をしていたラマヌジャンを心配して妻ジャナキが迎えに来た。帰り道、まるで少年の様に数学の魅力を語るラマヌジャンだった。
どうにかラマヌジャンの数学の才能を活かすことが出来ないかと考えたナーラヤーナは、イギリス・ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで数学の研究をしているG・H・ハーディ教授に手紙を書くことをラマヌジャンに勧めた。ラマヌジャンは手紙をしたためるとそれがイギリスのハーディ教授の元に届いた。差出人欄には“経理部の事務員”と書かれているその手紙には、共に研究しているリトルウッドがかつて議論を吹っかけてきた数学の話題についての記述があった。それを読んだハーディはリトルウッドと会い、手紙を書いたか聞くが彼はそれを否定した。
では、一体誰がこんな高尚な数式の羅列された文章を書いたというのか?夕食もとらずに手紙に見入るハーディ。その“素晴らしい発見”に関し、差出人であるS・ラマヌジャンに手紙を書いたハーディ。その手紙がインドに着くとフランシス卿から受け取ったラマヌジャンは英国で勉強できる喜びに溢れていた。しかし妻ジャナキにはこう言われるのだった。
・やっと私が来たのに海を渡ってしまうの?
・イギリスに呼び寄せると約束してくれる?
なら行っていいわ。
ラマヌジャンは母にも英国行きを告げるものの、彼女は嫁ジャナキのことを気に入ってはおらず、ラマヌジャンが行ってしまえば嫁は家事をサボるかもしれないと、英国行きを反対する。だがラマヌジャンの懇願で、毎日の祈りを欠かさないことなどを条件に英国行きを許した母だった。
インドからイギリスまでは船旅で、実に9700km。その間にはオーストリア皇太子暗殺事件、俗に言う“サラエボ事件”が起こり、一気に戦争へと突き進むか?等と考える人もいた。
インドから遙々やって来たラマヌジャンを迎えたのはリトルウッドだった。ラマヌジャンを見るトリニティ・カレッジの研究者たちは、彼が教育を受けていないことをとても心配している。そしてとうとう、ラマヌジャンとハーディ教授の初対面!だがしかし、ハーディは明日の時間を言い渡すと、そそくさとその場を後にした。
ラマヌジャンが滞在する寮の部屋の机の上には当時貴重だった上質な紙が束になって置かれていた。これで幾らでも勉強できる!そして母との約束の通り、毎日の祈りのためにインドより持参した像を飾るラマヌジャン。前途洋洋…。
ハーディの研究室で共同研究をするラマヌジャン。彼は研究を直ぐにでも発表したいと告げたが、それには、その研究を数学的に証明しなければならない。ラマヌジャンが先の手紙で送ってきた研究を証明するには一生掛かるだろうと冗談を言い合うハーディとリトルウッドだったが、ラマヌジャンはその研究と同じ厚さの本に記したもう一つの研究も取り出し、2人を驚かせるのであった。
学生としてトリニティ・カレッジの授業に参加して勉強をするラマヌジャン。彼にとってはこの分野は簡単すぎたのかノートを取らずに担当のハワード教授を怒らせてしまう。
目立つと怒られる
授業が終わるが生徒たちとすれ違うのを怖く思ったラマヌジャンが入った建物にはニュートンの彫像があった。“ニュートン”に触れたラマヌジャンの思いとは…!?
ラマヌジャンにはこう言う考えがある。
何故、証明で時間を無駄にするのか?
ハーディはラマヌジャンを説得する。
・オイラーやヤコビに匹敵する程のお前は、講義に出て、“証明”をしてみろ
・レン図書館にラマヌジャンを連れて行ったハーディ、“もしお前の研究が証明できたら、そのノートがここのニュートンの本の隣に並ぶかもしれない!”
しかし次々と直感で“公式(未証明)”を導き出すラマヌジャン、それはまるで女神の思いつきの様に…。今度は“分割数”についての研究だ。“公式を見つけた”とハーディに研究結果を渡すが、それに間違いを見つけるハーディ教授。だがハーディは“証明の重要性”の為にラマヌジャンの代わりに、彼の公式“高度合成数”の数学的証明をして学会で発表した。
イギリスからの連絡で息子の偉業を喜ぶ母親コーマラタンマルがいたが、妻ジャナキの顔はあまり喜んでいる様には見えない。ラマヌジャンからは手紙が来ないし、字の書けない自分が口述筆記をして貰って書いた手紙を義母コーマラタンマルに託すも、その返事さえ書いてこないラマヌジャン…。
[ストーリーは導入のみ]
・忍び寄る第一次世界大戦の影…
・フェロー=特別研究員しか足を踏み入れることが出来ないトリニティ・カレッジの芝生の上にも、テントが立てられ野戦病院に…
・結核を患うラマヌジャンは、ハーディとの研究を続けるためにその事を隠し…
・理系の人、数学者の人なら聞くだけで喜んじゃう様な(!?)専門的内容も!
・toikunの様に数学に関して無知な人物にも心配は要らない。難しい用語が出てくるだけで、それに関して簡単に説明もつけてくれる。
・無神論者のハーディと、宗教を大切にするラマヌジャン。ラマヌジャンは直感を頼りにし、ハーディは証明することでそれが世に出ると考える。そして両者の年齢の違いと肌の色の違い、2人の天才は殆ど全てが真逆だ。そんな彼らが真に心を通わす瞬間に注目!
“数字”というのは何時の時代もロマン溢れるモノ。そんな知的なドラマに今秋はハマろう!特に学生さん、本分である学業は当然として…チョットだけ恋も…ネ!
公式サイトには、8月18日時点で、本作が公開される厳選された16の劇場が記載されている。そして7月16日より売り出されている前売り券には特典としてオリジナルノート(数量限定・非売品)の記載もある。前売り券ご購入の際は、各関係機関に特典についてご連絡をとった後にドウゾ!
2度目です。
「ある天文学者の恋文」と本作で、ジェレミー・アイアンズ祭りだ、日本!
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知的な題材の本作のメガホンをとるのは日本未公開の『Ropewalk(原題)』に続く長編監督作品となるマシュー・ブラウン。映画スタッフとしてのキャリアで関わった作品数は少ないブラウンだが、本年2016年に脚本を担当した『London Town(原題)』が公開されている。
撮影監督のラリー・スミスは故スタンリー・キューブリックに弟子入りして「シャイニング」で照明スタッフ、その後、キューブリックの遺作「アイズ・ワイド・シャット」では撮影監督を務めている。
なお、製作の一人エドワード・R・プレスマンはジェレミー・アイアンズがアカデミー賞を受賞した「運命の逆転」のプロデューサーでもある。
キャストを紹介する。
・序盤は“S・ラマヌジャン”という“S”が“不思議”だったが劇中で“S=シュリニヴァーサ”と明かされるラマヌジャンを演じるのは「スラムドッグ$ミリオネア」や「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」などのイギリス生まれのデヴ・パテル。パテル以外の配役は考えられなかったよね!
・G・H・ハーディ教授を演じるのは何度も述べるになってしまったが「運命の逆転」でアカデミー主演男優賞を受賞したジェレミー・アイアンズ。その後、大ヒットアクションシリーズ「ダイ・ハード」シリーズの第3弾「ダイ・ハード3」ではドイツ系の大ボスを演じて魅せてくれた。他に「華麗なる恋の舞台で」では息子のマックス・アイアンズと共演。中々よろしいコメディだった。他に本作が公開される丁度1ヶ月前公開の「ある天文学者の恋文」では伝文覚の教授として登場するが“ミステリーを残して死亡”、恋人役の「007/慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコが謎に挑む!
・妻ジャナキ役のデヴィカ・ビセはtoikunは初見となった。「New York 結婚狂騒曲」など。上の方で“橋田壽賀子氏”の名前を出しましたが、意味は本作を観てご判断下さい(苦笑)
・第一次世界大戦に出征して“弾道学”なんてワケワカランと思った学問の名前が出てきたが、無事に戻って来たハーディの友人にトビー・ジョーンズ。「ハリー・ポッターと秘密の部屋」での声の出演以降、同シリーズの何作かで声の出演を果たす。「ネバーランド」や「フロスト×ニクソン」など。
・インドに在住してとーっても偉そうなナイトの称号を持つサー・フランシス・スプリングに、俳優以外にジャーナリストやコメディアン、テレビ司会などの多彩な顔を持つスティーヴン・フライ。「シビル・アクション」や「アリス・イン・ワンダーランド」など。
・彼は医者だったのかな?髭を生やして…でも去ることになったから研究者か、そんな髭の研究者を演じたのはジェレミー・ノーサム。「ザ・インターネット」や「アミスタッド」など。
・そして偉そうに暗算勝負でラマヌジャンには勝ちましたが…な分割数に関するライバル研究者を演じたのはケヴィン・R・マクナリー。先日2つともリレビューした「エントラップメント」や「ワルキューレ」など。
さて、キャスト紹介はこの辺で。
公開前につき、toikun個人の感想は少しだけ。先日観たアイアンズ出演の「ある天文学者の恋文」がとてもときめいちゃったラブストーリーで、本作の情報を知った時、同じ“教授”って言うことで、“どんな話なのだろう?”って大変興味を持った。本作にもラマヌジャンと妻との恋模様は描かれるが、大部分、人間ドラマと伝記としてのドラマ。
年代も約1世紀前で舞台がイギリスって事が更に強調されているイメージを持った作品。
デヴ・パテルとジェレミー・アイアンズの共演、きっとパテルにとってはこれ以上ない財産となったんだろうなぁ…と微笑んでいます、toikunは。
あぁ、まだ8月だけど、よい秋だわ♪
2016/08/18
by toikun.
『映画ファン』さんのレビュー・評価
投稿日時:20??/??/?? 15:59:46
4点/10点満点中★★★★☆☆☆☆☆☆
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