こんにちは、NAEです。
過去に何度か炎上プロジェクトを経験しました。いくら仕事をこなしても終わらない、無限のように思える暗く辛い回廊。
その多くで共通していたのが、主要メンバーのスキルミスマッチでした。
今回はそんなお話。
コンサルティングにおけるチーム編成の仕方
まず前提として、コンサルティングの仕事でどのようにチームが編成されるかを紹介します。
プロジェクトが立ち上がることになった際、いの一番に着手するのは人集めです。提案書の中にはスケジュールがあり見積もりがあり、その裏にはどのようなスキルやケイパビリティを持った人がどのタイミングで何人必要かが前提として明らかになっています。
ちなみに、多くの場合プロジェクトの開始から終了まで頭数が一定になるようにタスクを平準化します。いわゆる山積み・山崩しですね。
そのような人材要件に則って人集めに移りるのですが、その方法は様々です。知っている人を引っ張ってきたり、人事に依頼して社内に人材募集をかけてもらったり。
そして要件にマッチする人材が揃ったら、クライアントとキックオフをしてプロジェクト開始。
となるのですが・・・
スキルミスマッチが起こる理由
よくあるのが、本人の思っているスキルレベルやマインドセットが周囲の理解と乖離しているということ。
そうなる理由はいくつかあるのですが、大きなもののひとつがスキルは本人申告だから。
人材募集するプロジェクトマネージャーや実際に人探しをする人事は、社内の個人プロフィールに登録されたスキル情報をもとにマッチングを行います。その情報は本人が登録するため、なんでも書けていますのです。
たとえば、自分はトップダウンな戦略的思考が得意だと思っているけど、実はベタベタのボトムアップ思考しかできない。でもプロフィールページには「得意分野:戦略的思考」などと書かれていることも。
当然ながら、実際にプロジェクトチームに迎える前はプロジェクトマネージャーが面接を行います。入社面接みたいなもんですね。
しかし入社面接と違うのは、面接が1回のみだということ。人事が見て、グループディスカッションをやって、1次面接2次面接、という段階を踏みません。1発ですべてがきまります。
すると、全く戦略的思考ができない人であっても、本当に戦略系のプロジェクトに配属されてしまう・・・なんてことが起こるのです。
スキルミスマッチが織りなす害悪の嵐
おそらく、本人としてはガッツポーズでしょう。自分の希望に沿ったプロジェクトに配属されたのですから。
しかし、その喜びは長くは続きません。
待っているのは、自分のみならず、周囲の人や仕事そのものに広がっていく悪影響、そしてまわり回って自分に降りかかる低評価だからです。
本人が苦しい
自分のスキルが全く役立たない。歯が立たない。時間をかけても成果が上がらない。
かたや隣の人はポンポン器用に仕事をこなす。自分が1時間かけて書いた資料より、あいつが15分で、しかも片手間で仕上げた資料が採用される。
自分はなんて役立たずなんだ
こんな思いを持ちながら仕事をし続けるの、苦しいですよね。
周囲の人も苦しむ
苦しいのは本人だけではありません。
一人前の戦力とみなしていたところ、実は半人前未満の実力だった。
それをカバーするのは誰か?同じチームの人間です。
ただ半人前分の作業をカバーするだけではありません。半人前の実力で作った質の低い成果物を一人前品質まで持っていき、さらにフィードバックや指導を行う。
純粋に、仕事が増えていくんです。それに伴い正味の仕事に使える工数はどんどん少なくなっていきます。
にも関わらず、成果物に対して求められる納期と品質は変わりません。社内のスキルミスマッチなんてクライアントには関係ないからです。
そのため、品質維持と納期堅守のため工数を捻出する必要があります。
残業です。
最悪の場合、炎上プロジェクトへ
半人前のオーバーヘッドがかさみ、残業でも賄えないようになったらとうとう末期。
成果物の質が落ち、納期が遅れ、クライアントとの約束が果たせず、信頼を失い、よりミリミリした管理を求められ、ただでさえ不足している工数をさらに管理で奪われる。
負の無限ループのできあがりです。
本人は低評価を食らうかも
ここから脱却するにはどうすべきか。
方法の一つが、工数不足のもとであるスキルミスマッチさんに去ってもらうこと。
その場合、その人は成果が出なかった人間としてプロジェクトを離れることになります。
何が起こるか?
人事評価へ「うちのプロジェクトではこいつは全く役立たずだった」とインプットされるのです。
成果を出せていないという事実に基づいているという点で、この評価は公平です。しかしまあ、これだとあまりにかわいそうだしモヤモヤしますね。
仕事は人のスキルで完遂される
以上のストーリーはかなり極端な例ですが、あながちあり得ないとも言い切れないのが怖いところ。
仕事は人に、そして人のスキルによって完遂されます。
必要なスキルが足りない、ミスマッチしているということは、それすなわち仕事が完遂されないということ。
つまり、仕事を最短時間で失敗させるには、スキルのマッチしない人材を投入すればいいということになります。
成長余地は資質で見極める
しかし、だからといってスキルミスマッチな人を切り捨てるのはハッキリ言って愚かなことです。
人は成長するもの。今のスキルだけでなく、伸びしろや可能性も判断軸に加えるべきでしょう
そして、その仕事でどれだけ成長できるかは本人の資質に、そして管理する側が資質を見極めどれだけ活用できるかかかっています。
その点において、ストレングスファインダーは頼りがいのあるツールになりえます。
あ、ちなみにストレングスファインダーが探すのは強みじゃなくて資質だそうですよ。そのためタレントファインダーと呼ぶのが本来は正しい。
ただ、マーケティング上ストレングスと呼ぶほうが目を引くからそういう名前にしたに過ぎない、とのことです。
さて、今のスキルがミスマッチ、かつ資質的にもマッチしない場合はどうするか?
それはまた別の機会に書いてみようと想います。
まとめ:スキルミスマッチは害悪
以上、スキルミスマッチがいかに悪影響を及ぼすかというお話でした。
プロジェクトが短期であるなど、人を育てたり入れ替える余裕のないシチュエーションでは、腹を据えて走り切るしかありません。
仕事にはテーマや性質があり、それに適したマインドや思考アプローチがある。
— なえ (@__NAE__) 2016年8月13日
いつまでもマインドが身につけられず、思考回路も切り替えられない人は、不幸になるし、仕事も滞るため、周りにも迷惑をかける。
「変わる力」が守るのは自分だけではない。仕事を、そして周りの人をも守るのだ。
今回は以上です。