付け根分厚いほど強力 名古屋大チーム発表
シオマネキ(雄)のはさみは「見かけ倒し」で、ヤシガニは強力−−。カニやヤドカリなど甲殻類のはさみについて、挟む力の強さと形の相関関係を調べたところ、長さだけでなく、付け根部分が分厚いほど破壊力があるとの研究結果を、名古屋大博物館の藤原慎一助教らの研究チームがまとめ、米科学誌に発表した。
研究チームは、ザリガニなど92種・計317個の標本を使い、はさみの強さと、爪の長さや付け根部分の厚みを調べたところ、長さに対して厚みの比率が高いほど、挟む力が強いとの結果が得られた。筋肉が発達し、テコの原理で効率よく力を加えられるという。
例えば、シオマネキ(雄)のはさみは大きいものの、付け根の厚みが乏しいため力は弱い。ヤシガニは長さとともに付け根も分厚く、ヤシの実を割って食べることができる。藤原助教は「甲殻類のはさみはシンプルな構造だが、わずかな形の違いが、挟む力の差を生んでいることが分かった」と話している。【渡辺諒】