さい帯血からiPS細胞 研究機関に提供へ

さい帯血からiPS細胞 研究機関に提供へ
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京都大学iPS細胞研究所は、再生医療に役立てるため、赤ちゃんのへその緒に含まれる「さい帯血」から拒絶反応が起きにくいiPS細胞を作って保管し、研究機関などへの提供を始めることになりました。従来の方法に比べ、品質が高い細胞を効率よく作れると期待されています。
体のさまざまな組織になるiPS細胞は、病気やけがで失われた体の機能を取り戻す再生医療への応用が期待され、患者本人から作れば拒絶反応が防げると考えられていますが、多くの時間と費用がかかるのが課題になっています。
このため京都大学iPS細胞研究所は、特殊なタイプの免疫を持つ人に協力してもらい、他人に移植しても拒絶反応が起きにくいiPS細胞をあらかじめ作って保管し、研究機関などに提供する「iPS細胞ストック」という取り組みを進めています。
この中で、研究所は、白血病の治療などのため「さい帯血バンク」に保管されていたさい帯血を家族などの同意を得たうえで譲り受け、先月、iPS細胞を完成させました。
これまでは、献血をした大人から承諾を得てiPS細胞を作っていましたが、さい帯血を使えば、遺伝子の変異が少ない、より質の高いiPS細胞を効率よく作れると考えられています。
研究所は、さい帯血から作ったiPS細胞の提供を、今月下旬以降始めるとともに、保管するiPS細胞を増やしていくことにしています。