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小池百合子が斬り込む都議会ドン〈内田茂〉「疑惑の核心」 〈豊洲新市場〉工事を役員企業が38億円で受注

 投稿者:東京新報  投稿日:2016年 8月17日(水)07時10分37秒
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  小池百合子が斬り込む都議会ドン〈内田茂〉「疑惑の核心」
〈豊洲新市場〉工事を役員企業が38億円で受注


「やっぱり内田のドンとは徹底的に戦う。今いろいろ調べているところよ。築地移転の問題もそうね」
 当選後、親しい知人にこう語っているという小池百合子新都知事(64)。さっそく真価が問われることになるのが、築地市場の豊洲移転問題だ。
 移転予定日の十一月七日まで三カ月を切ったが、築地の水産仲卸業者からは不満の声が上がっている。
「移転計画は現場の実情に合いません。豊洲の海水は汚くて使えない。店舗も狭すぎて、冷蔵庫や解体機も満足に置けない。側溝は浅く、ゴミもすぐに溜まってしまう。未だに豊洲の賃料も分からないし、新たな備品も買わないといけない。小池さんに豊洲の危険性を伝えると驚いていました」(まぐろ仲卸業者の和知幹夫氏)
 小池氏は知事選の最中に築地市場を視察し、記者団にこう述べていた。
「都議会でも移転案の可決で強引な作業が行なわれた。自民党都連の一部が、どこかで何かを決めて納得行かない中で来てしまった構図だ」
 築地移転計画の背後に、“都議会のドン”こと内田茂都議(77)の存在が見え隠れしているというのだ。
「築地移転を都議会で仕切ったのが内田氏です。〇九年の都議選で落選しましたが、その間も、移転反対を掲げる当時の民主党との交渉を陰で指揮してきました。最終的に内田氏が民主党都議二人を賛成に寝返らせる剛腕を発揮し、一二年三月、移転に関する予算案が特別委員会で可決されるのです」(都連関係者)
 この予算成立を受け、都財務局は豊洲新市場の建設関連工事の入札を実施する。
 一三年十二月、新市場の管理施設棟の電気設備工事を受注したのが、「東光電気工事」だった。
 東光は、内田氏の地元・千代田区に本社を置き、一〇年から内田氏が監査役を務める会社だ。当時、落選中だった内田氏を役員として迎えた東光は、売上を急増させ、大手建設会社とJV(ジョイントベンチャー)を組むなどして、複数の東京五輪関連工事を落札した。
 築地移転に伴う入札でも、自社が中心となってJVを組んだ東光は、約三十八億円で落札に成功する。

地方自治法では禁止だが…

 業界関係者が明かす。
「東光は一四年四月に豊洲営業所を新たに開設し、新市場や五輪関連工事の受注に力を注いでいます」
 実は地方自治法には、次のような規定がある。
「地方議員が自治体の事業を請け負う企業の役員を兼ねることを禁じ、違反すれば、その職を失うと定めています。しかし、これに該当するには、議会で出席議員の三分の二以上の同意が必要。内田氏が議会を牛耳る限り、議員を辞める必要はないのです」(前出・都連関係者)
 築地移転を巡って、名前が浮上する都議会関係者は内田氏だけではない。
 豊洲新市場のある江東区の山崎孝明区長(72)。都議を五期務め、江東区長に転じた後は、築地移転の「旗振り役」となってきた。
「山崎氏は内田氏の最側近の一人。『内田さんに“俺の後を継ぐのはお前だ”と言われたけど、区長になりたかった』と言っていました。都議時代には東京五輪招致議連の初代会長を務め、森喜朗元首相とはゴルフに行く間柄。五輪予算の膨張に批判が高まる中、山崎氏は『もっと予算をつければいいんだ』と言い放っていた。豊洲の土壌汚染対策費も六千億円近くに膨らんでいますが、山崎氏は意に介していません」(同前)
 区長に転身した山崎氏が、都議会に送り込んだのが息子の山崎一輝都議(43)だ。山崎親子にもまた、“政治とカネ”の疑惑がある。
 江東区発注の工事を、一輝都議が代表を務める「自民党東京都江東区第三十三支部」に献金している企業が受注しているのだ。例えば、丸三建設工業は一四年に第三十三支部に七万二千円献金しているが、この年、江東区の工事を約二億三千万円受注している。
 それだけではない。一輝都議の第三十三支部は豊洲新市場の工事を受注した企業からも献金を受けている。
 新日本工業は一一年八月、大手建設会社とのJVで、土壌汚染対策工事を約百二十億円で落札。一方で第三十三支部は同社から一〇年、一二年、一三年と十八万円ずつ受け取っているのだ。
 日本大学の岩井奉信教授はこう指摘する。
「区長は、区の事業の発注権者です。業者がその息子に献金することで、入札に有利に働く可能性は否定できません。また、都議が都発注の事業を請け負う業者から献金を受け取るのも、同じく不適切と言えます」
 一輝都議の携帯を鳴らしたが「(豊洲移転については)一四年十二月に市場関係団体と合意しているから。それが全てですから」と答えるのみだった。
 築地移転、東京五輪と巨額予算が動く東京都を仕切ってきた内田氏だが、今から三十年以上前、その“黒歴史”の原点とも言える事件があった。
〈“名門校越境”で現金〉
 八四年十一月十二日、毎日新聞朝刊の一面トップに、こんな見出しが躍った。
〈都心の名門校として知られる千代田区立麹町、一橋両中学校の「区域外就学」をめぐり、千代田区議二人が他学区の生徒を大量に紹介、一部の親から謝礼として現金十万円などの金品を受け取っていた〉
 この千代田区議こそが、当時、区議会議長を務めていた内田氏なのだ。
 事情を知る当時の千代田区幹部A氏が明かす。
「当時、日比谷高など名門都立高のある千代田区の中学へ区域外入学したいという希望者が急増していた。
 区議が仲介者となることが多いのですが、中でも区議会トップの内田氏からの紹介は群を抜いて多く、区も困っていたのです。ある時、『四十人も五十人も入れないで下さい』『せめてX校ではなくてY校にして下さい』とお願いしたのですが、内田氏から『てめぇにガタガタ言われることはねぇ』『前の課長と同じようにやれ』などとチンピラのような物言いで恫喝されました。当時から脅せば役人は黙るという発想だったのでしょう」
 内田氏は当時、毎日新聞の取材にこう答えている。
「議員本来の仕事じゃないが、われわれはジョイント・マンですから」
「五十件? そんなにはない。年三十件くらいかな」
「(金品授受については)カネのことを言えというのは、政治家の看板を捨てろということだ。あとは察していただきたい」
 だが、内田氏は記事が出ると、
「決算委員会の場で『漏らしたヤツは必ず仕返ししてやる』などと声を荒げていました。前の助役や人事部長に『Aは目障りでしょうがない』とも言っていたようです」(A氏)

次のドン候補にもカネの問題

 改めて内田氏に質問状を送ったが、締め切りまでに回答はなかった。
“黒歴史”が次々と明るみに出る内田氏。八月四日には知事選敗北の責任を取り、石原伸晃都連会長らとともに幹事長辞任を表明した。
 だが、その権勢は一向に衰えていない。今月二十四日、パレスホテルで「政治活動40年を祝い励ます会」を予定している。会費二万円の案内状には、〈内田茂さんは学者も一目置く都市政策通として知られ、都政において八面六臂の大活躍をしております〉と綴られている。
「案内状は、都知事選直後に郵送されてきました。会場は最大で千二百人収容と聞いていますから、盛大なパーティになりそうです」(自民党関係者)
 幹事長を退く内田氏だが、後任には、最側近の人物を据えようとしているという。
「内田氏らの辞表を受理した常任総務会で、一部から『無理に都議が幹事長をやらなくてもいい』との意見も出ましたが、内田氏と近い高木啓都議会幹事長がすぐに『何を言い出すんだ』と止めに入った。後任幹事長は高島直樹都議(66)が有力です」(都連幹部)
 高島氏は、五輪組織委員会の理事なども務めているベテラン都議だ。
「都議会の議長は二年が慣例です。ところが一四年、内田氏は現職の議長を途中で退任させ、強引に高島氏を議長に押し込んだのです。議長選出は全会一致が基本ですが、この時は棄権票が三分の一近くに達した。当の高島氏は都議最高の名誉ポストに就任し、ますます内田氏に頭が上がらなくなりました。一方で、都の幹部に対しては、都議会自民党の控え室に呼びつけ、『この野郎』などと恫喝しています」(同前)
“ポスト内田”の高島氏にも“政治とカネ”の問題が付きまとう。毎年二月に五日間にも及ぶ「新春の集い」を開いている高島氏。「会費一万円で、副知事や都の局長も呼んでいる」(支援者)という。
 〇九年には、総額約一億円のパーティ収入を収支報告書に記載していなかったことが発覚。だが、その後も高島氏は、パーティの詳細を隠し続けている。
 パーティを主催している直伸会の収支報告書(一四年)によれば、五日間の開催でパーティ収入は約三千万円。記載義務のある二十万円以上の支払いをした者は一人もおらず、参加人数すらも記載されていない。
 一方で、直伸会は高島なおき後援会に八百万円を寄附。同後援会は、ほぼ同額を組織対策費として使っているが、その内訳は一切明らかにしていない。しかも、会計責任者だった男性は「政治資金パーティではなく親睦会」と説明するのだ。神戸学院大学の上脇博之教授が呆れる。
「五日間連続の開催ですが、一つのパーティと見なすべきでしょう。毎年開催し、恒常的に利益を上げている以上、親睦会とは言えず政治資金パーティと見なされる。政治資金規正法で一千万円以上の特定パーティは支払いした者の数を記載する必要があると定めており、高島氏のケースは不記載にあたる。パーティ収入の集め方、使い方、共に極めて不透明と言わざるを得ません」
 高島氏の携帯を鳴らしたが、「えーっと、私は代理の者です」と反応するだけ。高島事務所は「人数の点については選管などに確認を致し、問題があれば適切に対応します」と回答した。
 一方、小池新知事は「利権追及チーム」を新たに設置し、不正を発見すれば捜査当局に通報すると宣言している。そうした「改革」の舞台回しを担うのが、知事特別秘書二人だ。
「特別秘書は副知事と異なり、議会の同意を得ずに任命できます。報酬は局長クラスなので、約千七百万円。専用の公用車もついています。その任務の重要性から公用車の運転手も都の職員。スタッフも副知事より多い」(都庁幹部)
 その特別秘書に任命されたのが野田数(かずさ)氏(42)。自民党都議などを経て、一二年には維新の会から衆院選に出馬(落選)。小池氏の秘書を務めた経験もある。
「都庁では極右として知られている人物です。都議時代には、朝鮮学校への補助金廃止を訴えたり、国会議員の尖閣諸島視察団に都議で唯一参加して国旗を掲げたりしていました。一二年には日本国憲法無効論を唱えて、大日本帝国憲法復活の請願を都議会に提出。当時の橋下徹代表の顰蹙を買ったそうです」(元都議)
 その野田氏は、一三年からアントニオ猪木参院議員の政策秘書を務めていたが、猪木事務所との間で金銭トラブルが起きていた。
「猪木氏の愛人とされる元秘書のH女史と衝突し、野田氏は一四年七月、事務所を解雇されました。当時、事務所の文書交通費百万円のうち五十万円を、野田氏がネコババしていたという疑惑が囁かれた。実際、野田氏と猪木事務所は弁護士同士のやり取りを続けていました」(維新関係者)
 都議時代から内田氏とは関係が悪く、〈内田、許さない!!〉と綴った遺書を残した樺山卓司都議が、自殺前夜に共に酒を飲んでいたのも野田氏だった。
 野田氏は最近、親しい関係者にこう息巻いている。
「内田はチンピラにもなれなかった男。幹事長じゃなくなったら人間として何もない。これで終止符が打たれるかもしれないね」
 ただ、自身の過去の言動にも思い当たるフシがあるようで、「昔の発言がどうとか、まず私がやられるでしょう。それも覚悟の上です」とも漏らしている。
 野田氏に取材を申し込んだが、回答はなかった。
 もう一人の特別秘書が元読売新聞記者の宮地美陽子(みよこ)氏(39)である。
「早大の柔道部出身で、全日本学生女子柔道大会にも出場しています。二〇〇〇年に読売入社。甲府支局で五年間勤務した後、本社の編成部でレイアウトや見出し作成の仕事をしていました。三人の子どもがいます」(読売関係者)
 多くの記者が「政治の現場でバリバリ働くタイプではなかったので意外だ」と口を揃える。
「夫は産経新聞の記者。政治部時代に守屋武昌防衛次官を更迭した小池氏の政治決断を評価する記事を書き、その後も小池事務所に出入りしていた。また、父親はテレビ局の元幹部で、小池氏とも縁があったようです。彼女を、“刺客”として来年の都議選で出すというアイデアも浮上しています」(政治部デスク)
 だが、自民党都議団は早くも手ぐすねを引いている。
「野田氏が議会対策を担当するようですが、彼はキワモノ。我々も野田氏に狙いを定めていく。一方の宮地氏は政治の素人。ワーキングマザーというだけで抜擢したのでは」(自民党都議)
 都連最高顧問の深谷隆司元通産相は、小池氏の改革への“本気度”を疑う。
「都選出議員にとって築地は重要な問題だが、小池さんから築地に関する発言を聞いたことがない。今さら乗り出してきて、どう変えようというのか」
 築地移転問題にどのような結論を出すのか。小池氏の決断が問われている。

「週刊文春」2016年8月25日号
 
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