(常子)かわいいね。
その赤い傘。
いいでしょう。
青葉のお気に入りなの。
青葉ちゃんっていうの?お兄ちゃんは?大樹。
いい名前だね。
あ…ねえおうちの人はいる?何か御用ですか?あ…お母様ですか?いえ。
私は手伝いの者で。
そうですか。
あっあの…私「あなたの暮し」という雑誌の小橋と申します。
台所を取材させて頂ければと思ったのですが。
ああ…今は旦那さんが留守なもので勝手な事は…。
そうですか。
無理言ってすみません。
いえ。
(青葉)あっ!ああこんなになっちゃって…。
僕悪くないよ。
怒ったりしませんよ。
水で傘の色が落ちちゃったのね。
全くひどいもん売りつけて…。
(青葉)汚れちゃった…。
かわいそうにね。
お気に入りの洋服だったのに。
中で拭きましょう。
ねっ。
失礼します。
すみません。
さあ中で拭こう。
ねっ。
(本木)今日は戻ろうか?ええ。
・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」・「どんな言葉並べても」・「真実にはならないから」・「今日は贈ろう」・「涙色の花束を君に」・「涙色の花束を君に」ただいま戻りました。
ただいま。
(一同)お帰りなさい。
(美子)見て新しいミシン。
はあ〜これが…。
動かしたんか?
(寿美子)いえこれからです。
ではいきます。
(一同)お〜。
動いた動いた。
(寿美子)痛っ!寿美子さん大丈夫?大丈夫か?どうした?あぁ…。
おいおい…。
針がちょっとかすっただけです。
(花山)危うく目が傷つくところじゃないか!君が責任者なのか?はっきりと言いなさい!用件ならさっき電話に出た者に伝えただろ!君の会社で販売しているミシンの事だ。
あれは欠陥商品だろ?危うく失明するところだったんだぞ!担当に代わるって君は担当じゃないのか?おい!話にならん!
(水田)とんだ粗悪品だったな。
(緑)最近の製品はそんなのばっかりね。
危なかった。
しばらくミシン触るのも嫌だ。
回想
(花山)住まいも衣服も食べ物もあらゆる物が行き渡るようになった新しい時代に「あなたの暮し」が読者に提供すべき知識は何なのか。
試験をしましょう。
「あなたの暮し」で商品の試験をするの。
商品を試験?物が出回ってきた時代だけどその反面あのミシンのような粗悪品もたくさんあります。
そんな粗悪品を買わされる消費者のためにもいろいろな商品を実験してその商品のいいところと悪いところを伝えてはどうかと思うんです。
(緑)でもそういう実験ならもうメーカーの方でやっているのでは?メーカーの検査をうのみにしてもいいんでしょうか?その検査が正しければあのミシンのような事は起こらないと思います。
確かに…。
私たちがこの手で実際に品質を確かめてその結果を伝える事が大切だと思うんです。
それにほらうちは広告を載せていませんからどこに気兼ねする事もなく公正な目で見て真実だけを伝える事ができます。
そうか…そうですよね。
いろいろありましたけどあの一件以降広告を載せずにやってきましたもんね。
ええ。
これは私たちだからこそできる事だと思うの。
花山さんこの商品試験はこれからの「あなたの暮し」が読者に提供すべき大切な情報だと思うんです。
洪水のようだと思わないか?
(松永)はい?
(花山)好景気で物があふれ出した世の中がだよ。
大量生産された商品はまるで洪水のように私たちに襲いかかってくる。
洪水のように…ですか?
(花山)しかし全ての商品が幸せを運んでくれはしない。
あのミシンのように。
だからこそこのアイデアはすばらしい!
(花山)やるからには常子さんの言うとおりただの商品紹介ではなく世間に対し「危ないものはこれだ」と教えるものにしよう!はい!全て実名を出し問題のある商品はどこが危険なのかを読者に届けよう!
(一同)はい!早速企画会議を始める。
(一同)えっ?何から取り上げるべきだ?衣料か?食品か?ほら早く言いなさい!日用品とか。
日用品。
日用品?私たちも手探りで始める企画ですのでまずは手に取りやすい身近なものがいいのではないかと。
(本木)だったら石けんはどうですか?こないだ嫁が買った石けんが粗悪品で肌荒れを起こしたんです。
いいかもしれません。
老若男女問わず日常で接するものですし毎日の暮らしに欠かせないものです。
よし第1回の商品試験は石けんにしよう。
(一同)はい。
(水田)いやしかし我々だけで調べるには限界があるんじゃないでしょうか。
(松永)石けんの成分なんかはメーカーに問い合わせて聞けばいいんじゃないですか?駄目だ!それでは広告を入れるのと同じ事になってしまう。
成分などの分析は民間の検査機関に頼もう。
我々がすべき事は使い勝手や使い心地等の試験と検証だな。
それを視覚的にも読者に深く訴えかけるものにしなければ。
はい。
汚れの落ち具合を試験前と後で比較してみるのはどうでしょう?ほならええ写真撮りまっせ。
(笑い声)お願いします。
石けんは国内メーカーに限るのはどうでしょうか?よし早速明日から取りかかろう。
(一同)はい!
(鞠子)へえ〜商品試験?うん。
これは多分すごい企画になると思うな。
おかあさんにも社内の熱気を見せてあげたかったよ。
私に?そう。
花山さんも興奮した様子でさぁ。
(たまき)たまきも見たかった!おっそうか!たまきも大きくなったらお父さんの会社入るか?入る入る!入るか。
ハハハ…。
じゃあ一緒に働くか。
アハハハハ!くすぐったい…。
たまき!たまき…。
最新号です。
(宗吉)お〜。
(照代)あらおいしそう。
いいわね。
フフフフ…。
今回も監修して頂きありがとうございました。
ああああああ…。
それよりわざわざ来るの大変だろう。
取りに行くのに…。
いいんです。
お世話になった方に自分の手で配りに行くのは私の中の決め事ですから。
ふ〜ん決め事ねえ。
ん?美子何やってんだ?ああ…いえ何も。
あっ…ハハハハ。
タイショウならなもう帰ったぞ。
えっ!お〜!南さん…。
どうかした?えっ?ハハハ!引っ掛かってやんの。
ウフフフフ!
美子はキッチン森田屋に勤める南大昭と交際を始めたばかりでした
大将仕込み終わりました。
お〜そうか。
ご苦労タイショウ。
タイショウやめて下さいって大将。
(宗吉)いいじゃねえかよ。
おめえの名前音読みすればタイショウだろ?紛らわしくて。
(宗吉)うっせえな。
俺はなお前の腕を見込んでゆくゆくはこの店の大将にしようと思ってんだ。
今から慣れとけタイショウ。
はあ…。
常子さんどうも。
こんばんは。
もう終わりですか?ああ。
あとは仕込みだけだったから。
ああそうなの。
よっちゃん今日もう終わっていいわよ。
えっでも…。
新しい企画も動き出すしたまには羽伸ばしてらっしゃい。
はい。
(照代)羽伸ばすんだったらたまには外で食べてきたら?えっ?おいおい飯だったら俺が…。
ここじゃできない話もあるでしょ?ねえ?そんな事ありません…。
じゃあそうします。
勉強にもなるし。
着替えてくる。
うん。
じゃあ私失礼しますね。
ごゆっくり。
失礼します。
おうご苦労さん。
気を付けてね。
はい。
また。
(戸の開閉音)はあ…あとは常子だけだな。
どこかにいい人いるといいけど。
うん…。
う〜ん…いい人がいたとしてもとと姉ちゃんにその気がなさそうですから。
どうしたもんじゃろのぉ。
…もんじゃろのぉ。
フフフフ。
どうしたもんじゃろのぉ…。
(君子)それじゃあ南さんとうまくいってるのね。
それはそれは仲むつまじく。
フフフフそう…。
でもコックさんとおつきあいするとは食いしん坊の美子らしいわね。
そうですね。
フフフフ。
どんな方なの?南さんって。
ほら私お会いした事ないから。
あ〜そうですね男らしくて芯のある方ですかね。
あら。
私も森田屋さんでしかお会いした事ないですけどよっちゃんを引っ張っていって下さっている気がします。
そうなのね…。
アハハハハ!あ…。
商品を試験する企画を始めるんです。
まずは石けんで。
その参考になればとうちの石けんの事もメモしておこうと思って。
お仕事楽しい?私の頃はみんな常子のようにやりたい事を仕事にするなんて考えはなかったからどんな気持ちなのかなと思って。
そうですね…。
苦労はありますけど今はただ純粋に楽しいです。
そう…。
フフフ。
(花山)石けんの商品試験は汚れの落ち具合溶け具合肌荒れ香り包装泡立ち。
以上6つの項目で比較し評価する。
作業工程はそれぞれ手分けしてやってもらう事になるがまずは扇田君。
はい。
石けん液の中で布を洗う係を頼む。
分かりました。
美子さんはその布をよく絞って水けを切りそのあとはしわがないようにしっかり広げて干してくれ。
はい。
布が完全に乾いたらその香りを調査するんだ。
(一同)はい。
こうして花山の指示のもと商品試験がついに始まったのです
2016/08/16(火) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 とと姉ちゃん(116)「常子、商品試験を始める」[解][字][デ]
粗悪品の傘で服を汚した女の子を見て、常子(高畑充希)は試験をして優劣を決める企画を発案する。モノがあふれる時代だからこその企画だと花山(唐沢寿明)は絶賛するが…
詳細情報
番組内容
常子(高畑充希)は、取材中傘で遊んでいた女の子が、粗悪な作りの傘の色が落ち、服に染みをつけるところを目撃する。会社に戻ると、買ったばかりのミシンが壊れ社員がけがをする。二つの出来事をヒントに粗悪品も多く出回る中で試験をして商品の優劣を示す企画を思いつく。これぞ、モノがあふれる時代にふさわしいアイデアだと絶賛する花山(唐沢寿明)。まずは身近な日用品からと、常子たちはせっけんを取り上げることにするが…
出演者
【出演】高畑充希,木村多江,相楽樹,杉咲花,伊藤淳史,唐沢寿明,【語り】檀ふみ
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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