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障害年金、うつ病でももらえるの? 気になる給付金額と受給のポイント

「突然の事故や病気で障害が残ってしまった…」「うつ病で休職を余儀なくされた…」ーーそんな時の強い味方が「障害年金」です。しかし、制度が複雑で手間と時間がかかるこの制度。そんないささか手強い障害年金について、腕利きの社会保険労務士・赤岩幸一さんが解説する連載コラムがスタート! この『社会保険労務士が伝授! 障害年金の知っておきたい活用法』は隔週で更新予定ですので、どうぞ楽しみしてください。

障害年金、うつ病でももらえるの? 気になる給付金額と受給のポイント


障害年金って、なに?


ひと言で言うと、「病気やけがで働くのが難しくなった人を援助する年金」です。


では、この障害年金はどこから出る年金なのでしょうか?


それはみなさんが良く知っている、「国民年金・厚生年金」の給付のひとつです。


この公的年金である「国民年金・厚生年金」の主な給付は3つあります。


ひとつはみなさんよくご存じの「老齢年金」、そして「遺族年金」、もうひとつがこれからお話しする「障害年金」なのです。


「老齢年金」は年を取るともらえる年金ですね。一般的には65歳からもらえます。


でも65歳になる前に病気やけがで働くのが困難になり、収入がなくなったりしたら困りますね。そんな時に助けてくれるのが「障害年金」なのです。


「障害年金」はこのように大事な年金で、そしてすでに加入して保険料を納めている人がほとんどの年金です。しかし認知度が低いために、受給資格がありながら請求していない人が数多くいます。


また「障害年金」は病気は対象にならないと思っている人もいますが、ほとんどの病気が対象になります


こんな実例もありました。


8年前に心臓のペースメーカーを入れた方がいました。障害年金のことは全く知らなかったそうです。ある日私のチラシを見て、障害年金のあることを知り、手続きをさせていただきました。


結果は、障害厚生年金3級で、5年さかのぼって一括で313万円余りが振り込まれました。


今後は、毎年585,000円余りが年金として支払われます。



◆ちょっとひと言◆

みなさん「申請」と「請求」の違いをご存知ですか?

「申請」は公的機関に認可や許可などをお願いすることです。


「請求」は当然の権利として求めることです。


障害年金を求める書類は「年金請求書」と書かれていて、「年金申請書」ではありません。障害年金は国民の当然の権利ですので、堂々と請求しましょう。





「障害年金」を理解するために 〜年金の基礎知識〜



上の図の1階部分が「国民年金」です。


「国民年金」は日本に住んでいる20歳~60歳までの人すべてが加入しますので「基礎年金」とも言われています。


図の2階部分は「厚生年金」です。


これは会社員、公務員などが加入します(平成27年10月1日より共済年金は厚生年金に統一されましたので公務員も今は厚生年金です)。


「厚生年金」に加入している人は同時に「国民年金」にも加入しているということです。


「厚生年金」の保険料は払っているけど、「国民年金」の保険料は払っていないよ、と思う人もいるかもしれませが、「厚生年金」の保険料のなかから「国民年金」の保険料もちゃんと払われています。



「障害年金」を国民年金と厚生年金で比べると…


「障害年金」は「国民年金」「厚生年金」のどちらにもありますが、「国民年金」は「障害基礎年金1級」「障害基礎年金2級」の2つしかありません。


「初診日」(障害の原因となった傷病につき、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)に「国民年金」だけに加入していた人はこの「障害基礎年金1級・2級」しかありません。


しかし、「初診日」に「厚生年金」に加入していた人は、「障害厚生年金1級」「障害厚生年金2級」「障害厚生年金3級」と「障害手当金」(一時金)があります。


「厚生年金」に加入している人が「障害厚生年金1級」に該当したときは、同時に「国民年金」の「障害基礎年金1級」も受給できます。


同様に「障害厚生年金2級」に該当した時は、同時に「国民年金」の「障害基礎年金2級」も受給できます。


では、「障害厚生年金3級」に該当した時はどうでしょうか?


この時は、「国民年金」には該当する級がないので「障害厚生年金3級」のみの受給になります。


こうしてみると、「初診日」に「国民年金」だけだったのか、「厚生年金」に加入していたのかは「障害年金」の受給では重要なポイントになりますね




障害年金って、いくらもらえるの?


では、気になる支給額を見てみましょう。


まず「国民年金」です。


「障害基礎年金1級」 975,100円(定額)+子の加算
「障害基礎年金2級」 780,100円(定額)+子の加算
(「子の加算」は第1子と第2子は224,500円、第3子以降は74,800円)


次に「厚生年金」です。


「障害厚生年金1級」 報酬比例の年金額×1.25倍+配偶者加算224,500円+「障害基礎年金1級」

「障害厚生年金2級」 報酬比例の年金額+配偶者加算224,500円+「障害基礎年金2級」

「障害厚生年金3級」 報酬比例の年金額(最低保証額585,100円)



では、「報酬比例の年金額」って何でしょう?


「国民年金」は全員が定額の保険料を払いますので支給額も定額ですが、「厚生年金」は収入に応じて保険料を支払いますのでそれぞれ年金額も違います。


でも、だいたいいくらくらいか知りたいですよね?


「障害厚生年金3級」は最低保証額(585,100円)がありますが、「障害厚生年金1級、2級」には最低保証がありませんので年収によっては3級の最低保証額より少なくなることもあります。


しかし入社したての人でも300月(25年)加入していたことにして計算してくれますので、めちゃくちゃ低くなることはありません。


それに「障害厚生年金1級、2級」の人は「国民年金」の「障害基礎年金1級、2級」「子の加算」「配偶者加算」も受けられますので、人によっては年金額が200万円前後になることもあります。


「障害厚生年金」の給付には、他に「障害手当金」があります。


「障害手当金」は「障害年金3級」に該当しない程度のとき、年金ではなく一時金として支給されます。


「障害手当金」は3級の2年分、最低保証は1,170,200円が一時金として支給されます。


「障害手当金」は「初診日」から5年以内に治った場合に、その治った日から5年以内に請求した場合のみ支給されます。




うつ病で休職を余儀なくされたら…


うつ病などの精神疾患でも「障害年金」の対象になります。


でも、「初診日」から「障害認定日」まで1年6ヵ月待たなければいけません。


うつ病でいちばん大切なのは、まず休むことです。


そして医師に診てもらうことです。


でも長く休むと生活が心配という方も多いと思います。


会社にお勤めの人は、健康保険に入っていると思いますので、まず健康保険の「傷病手当金」の制度を利用しましょう。


「傷病手当金」は最初の支給開始日から最長で1年6ヵ月間、給料の約3分の2が支給されます。


1年過ぎてもまだ回復の見通しが立たないようでしたら、「障害年金」の請求の準備を始めましょう。


「障害認定日」を過ぎたらすぐに年金事務所に書類を提出できるようにするとよいと思います。とにかく「障害年金」は審査に時間がかかりますので。


次回は「障害年金」を受給するための重要なポイントをわかりやすく解説します。


<第2回につづく>



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赤岩先生への相談は件名を「治療ノート」として下記7つの項目をご記入のうえ「ohji.sr@gmail.com」までご送信ください。


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② 生年月日(ご年齢)

③ 電話番号

④ 病名(あるいは症状)

⑤ 上記④に関連して初めて医療機関を受診した日(初診日

⑥ 現在の障害状態(障害者手帳の等級、あるいは日常生活で困っていることなど)

⑦ 初診日の時点での加入年金制度の種類(国民年金 or 厚生年金 or 共済年金)と加入状況

(不明な項目は未記入でも結構です)


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プロフィール

赤岩 幸一(あかいわこういち)
赤岩 幸一(あかいわこういち)
社会保険労務士/1966年 早稲田大学政治経済学部卒業。2015年 赤岩社会保険労務士事務所開設。同年、王子障害年金サポートセンター開設。障害年金の相談多数。病院で患者さん対象の「やさしい障害年金の話」勉強会、病院ソーシャルワーカーさんの会で「障害年金のセミナー」、看護師さんのグループでの「障害年金の勉強会」など障害年金の認知度を上げる活動に注力している。2016年 NPO法人ジョムスン副理事長兼務。お問い合わせはこちら→http://shougai-tokyo.com/

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