【シリコンバレー=小川義也】米フォード・モーターは16日、2021年までにハンドルやアクセルのない完全自動運転車の量産を始めると発表した。まずライドシェア(相乗り)などの配車サービス向けに供給する。関連技術への投資を拡大し、研究拠点の人員を倍増することも明らかにした。米IT(情報技術)大手を含む自動運転車の開発競争がより激しくなってきた。
フォードは量産に向けて
関連技術を取り込む。自動運転車で対向車や歩行者、建物などの状況や距離を立体的に認識するレーザー光センサーの大手、米ベロダインに7500万ドル(約75億円)出資したほか、画像認識技術に強みを持つ人工知能(AI)ベンチャーのサイプス(イスラエル)を買収した。ベロダインには中国のインターネット検索大手の百度(バイドゥ)も同額を出資した。
フォードは15年1月、パロアルト市内に研究拠点を開設した。現在は研究者や技術者などが130人いるが、17年末までにデザイナーや新規事業開発の担当者を含め260人に倍増する。
シリコンバレーで会見したマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)は自社で「無人タクシー」サービスを手がけるのか、米ウーバーテクノロジーズのような既存事業者に車両を供給するのかについては明言を避けた。米ゼネラル・モーターズ(GM)はウーバーのライバルである米リフトに5億ドル出資。同社と近く無人タクシーの実験を始める。
フィールズCEOは「自動運転車のインパクトはフォードが100年前に始めたベルトコンベヤーによる自動車の大量生産に匹敵する。この変化の一部は我々がリードする」と語った。
米国では自動運転車の実用化に向けて、連邦政府や各州レベルで法的な枠組みをどうするのか議論が進んでいる。自動運転車の開発を巡っては米グーグルが先行している。自動車メーカーでは独BMWが7月に21年までの完全自動運転技術導入に向けて米インテルなどと提携。完成車メーカーの間でも開発競争が加速している。