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ベネッセ、原田退任後も見えない復活の兆し

東洋経済オンライン 8月17日(水)8時0分配信

 2014年7月に大規模な顧客情報漏洩が発覚してから2年――。通信教育大手・ベネッセホールディングスの苦境がまだ続いている。

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 8月1日に発表した2016年4~6月期(第1四半期)決算は売上高1056億円(前年同期比1.7%減)、7億円の営業赤字(前年同期は6億円の黒字)とついに赤字転落した。

■ ついにJPX400からも除外

 もともと第1四半期は採用コストなどがかさむため利益は少ないが、赤字になったのは1995年の上場以来、今回が初めて。JPX日経インデックス400銘柄からも8月31日付で除外される。

 足を引っ張っているのは国内教育事業の柱である「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」だ。今年4~6月からの延べ在籍数(4~6月の月次在籍数の累計)は702万人で、前年同期の788万人から1割減った。商品点数をしぼりコスト削減を進めたが、減収による減益の影響を補うには及ばなかった。

 国内教育事業は売上高514億円(前年同期比4.3%減)、セグメント損失17億円(前年同期は1.6億円の損失)と一気に10倍に膨らんだ。

 前社長の原田泳幸氏は2014年6月、ベネッセHDの社長に就任。が、同年7月に発覚した漏洩事件の影響で、2期連続で巨額の最終赤字に転落。2016年5月には退任を発表。6月25日の株主総会を機に会社を去った。

 原田氏の肝煎りで進められた「進研ゼミプラス」は鳴かず飛ばずのままだ。これは子どもの学習スタイルに合わせ、「紙のテキスト」か「紙のテキスト+電子端末」(小学生は専用端末、中高生はiPad)を自由に選べる教材。「とにかく早く始めることが(情報漏洩)事故からの回復につながる」(原田氏)と、急ピッチでデジタル教材の開発を進めてきた。

 2015年10月に、翌年4月の投入を発表した。だが、開発を急ぐあまり、デモ機が完成していない2016年2月の段階で体験会を強行。週末にショッピングセンターで体験会を実施したが、デジタル教材のメイン顧客である中高生の週末の過ごし方が多様化していることもあり、十分な人が集まらず教材のメリットを訴求することができなかった。

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最終更新:8月17日(水)10時5分

東洋経済オンライン

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