ラーメン屋や中華屋さんに行けば必ずと言っていいほど頼んでしまう餃子。
シンプルな焼き餃子もいいけど、「いろんな種類をちょっとずつ楽しみたい」と一度はおもったことがあるのではないでしょうか。
そこで、焼き餃子、蒸し餃子、水餃子、すべての餃子を食べることができて、しかも調理法に合った具材、包み方で提供している――そんな餃子好きの聖地が新宿にあると聞いて、さっそく行ってまいりました。
老辺餃子舘 新宿本店
その餃子好きの聖地のお店は「老辺(ろうべん)餃子」。
本店は中国にありますが、30年ほど前に現地で食べた日本人が感動して日本へ招へいしたのだとか。古くは200年近く前に辺福老人という人が完成させた老辺餃子は、皇帝に「当代随一」と賞賛されたようです!
まずは絶対に必食な色々な味を楽しめる「老辺餃子舘」の焼き餃子
焼き餃子(¥1,950)は、大ぶりの餃子が4種類3個ずつ食べられる一皿。
餃子の種類がわからなくなっちゃうのでは?という心配はご無用。こんなカードといっしょに運んでもらえます。
ちなみに、餃子はすべてあんに味がついているのでタレなどはありません。
見てください。この餃子のビジュアル。
画面越しでも伝わるでしょう、このパリッと感。皮の外側は、揚げ餃子に近いくらいパリパリです。皮はかなり分厚くもちもちと噛みごたえのある食感です。
まずは、エビと蟹肉からいただきます。
パリパリ、もちもちの皮を噛んでいると、どんどん広がってくるエビカニの香り。すり身になっているのに、エビそのままみたいなプリッとした食感です。
二番手は、干し貝とズッキーニ。
餃子とズッキーニってあうのだろうか…?と思ったのですが、干し貝のダシがしみた野菜の汁がじゅわっとでてきて、あっという間に食べ終わってしまいます。
お次は、各種キノコ。
干ししいたけの香りがメインに鼻孔をくすぐります。食感としてはお肉感とキノコ感がハーフ&ハーフで弾力が加わっていますね。キノコの生み出す深い奥行きは、キノコ好きならば一度は味わうべき!
最後は生ホタテ貝
上品な旨味がぎゅっと詰まっています。どうしてホタテの香りって、こんなに上品で高貴な感じがするのでしょうか。
水餃子も劇的に美味しい!
5種類のあんが2個ずつ楽しめる水餃子(¥1,950)は、卓上で火をつけてくれるのでずっとアツアツのまま食べることができます。ひとつひとつ丁寧に形作られた餃子が、ぷりぷりに茹であがった姿のかわいさといったら。
餃子の種類の説明は、こんな感じ。
まずは干し貝柱をいただきます。
豚あんベースに干し貝柱は餃子ではポピュラーな組み合わせですが、風味の豊かさが今まで食べた餃子とは段違いです。貝柱のほろほろ崩れる食感と、スープに半分溶け込んだ豚の脂身がトロトロです。
セロリ
セロリと豚肉がこんなにマッチするなんて!生のセロリに近い香りがとってもさわやかなひと品です。
白身魚
魚介の香りに加えて、薬味としてしょうがが多めに入っています。麦穂の形に結んだ包み方は皮のムチムチ感を増していて、柔らかい魚の食感とベストマッチです。
白菜
均等につけられたヒダが美しい、もはや芸術品です。
切ると、皮の中にとじこめられていた汁がしたたり落ちそうです。
日本で「餃子」というと白菜がよく入っているので、我々にとっても親しみやすい味です。さっぱり感もあいまって、何個でも食べられちゃいます。
海老
海老餃子って水餃子にしてもおいしいんだ!という驚き。ぷりっぷりの身を、アツアツの水分と一緒に流し込めば、もう言うことナシ。
もちろん蒸し餃子だってあるよ!
店主さんの「中国では蒸し餃子が主だよ!」という言葉に釣られて注文したくなってしまいました。メニューを開いてみると、なんとこちらの蒸し餃子、包み方が5種類、具材の種類が11種類もあるのです。どれにしようか迷っていると、おすすめを集めたセットがありました。
MIXセットA(¥750)を注文。
説明書きはメニューにありました。
最初はえびから実食。
なんでしょうか、このかわいさは。
断面はこのような感じで、水餃子のえびとはまた違い、えびがすり身になっています。でも海老のぷりぷりとした触感と、かぐわしい香りは健在。あえて皮が強調された包み方がされていて、皮のもちもち食感といっしょに楽しむことができます。
とり
鶏肉の餃子?
鶏皮餃子なら聞いたことあるけど…といぶかしがりながらひとくち口に入れると、ウマー!豚の油と、鶏の油ってぜんぜん違うんですね。脂はサラッとしつつ、独特なスパイスの香りを口の中に残します。
シイタケ
干しシイタケって、うま味のかたまりなのだということを実感させられます。蒸しにすることによってうま味の凝縮感があり、なんとも気品のある一品です。
白菜
白菜の水分が溶け合った豚のうまみをたっぷり蓄えて、とってもジューシー。パプリカが、苦みで全体のバランスをとる立役者になっています。
「老辺餃子舘」ってどこ?
新宿駅南口を出て3分ほどのところに、老辺餃子館の新宿本店はあります。
餃子の種類をいろいろ食べたいなら、大勢で来るのがおすすめ。
もちろん餃子だけでなく、本場中国から来た料理人の揚州料理を楽しむことができます。油っぽさひかえめな揚州料理はさっぱりしていて、中国料理とは思えないほどすいすい箸が進んでしまいます!
数十キロもの豚バラ肉を何時間も煮込んで作られたベースの豚肉あんは、厨房の中でも限られた人しかその製法を知らず、日本で食べられるのはもちろん老辺餃子館だけ。
種類が豊富で、おなかいっぱいになるまで食べても、まだすべての種類の餃子は食べきれていないほど。まず食べ飽きることはありません。
餃子好きの聖地は、やっぱり聖地でした。
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
著者・SPECIAL THANKS
ジョー
株式会社フードクリエイティブファクトリーの所属ライター。
高校1年間を単身アメリカで過ごしたことで、日本の食文化を大切にしたいと思うようになる。大学時代に出版社より小説を執筆、出版。ライティング業で学費の一部を稼ぐ。現在は料理研究家への道を邁進中。
(編集:河瀬璃菜/フードクリエイティブファクトリー http://foodcreativefactory.com/)