資金貯め込む韓国企業、現金性資産が過去最高に

 韓国企業が保有する現金性資産が600兆ウォンを超え、過去最高を記録した。低金利で市中に資金が供給された上、景気低迷で投資先が見つからない企業が資金を貯め込んでいるためとみられる。

 韓国銀行(中央銀行)によると、6月末現在で韓国の広義のマネーサプライ(M2)は2337兆4000億ウォン(約214兆円)で、うち企業が保有する現金、即時引き出しが可能な預金、2年未満の定期預金・積立預金などを合計すると、614兆7000億ウォンだった。これは統計を取り始めた2001年以降で最高だ。一方、家計と非営利団体が保有するM2は1238兆3000億ウォンだった。

 企業が保有するM2は昨年3月に初めて600兆ウォンを超え、4-5月は590兆ウォン台に減少したが、再び600兆ウォンを超えた。6月だけで18兆6000億ウォン増えた計算で、月間の増加幅も過去最大だった。これまで増加幅が最大だったのは今年3月(18兆5000億ウォン)だった。韓銀は「政府が上半期の予算を早期執行し、資金が企業に流れたのではないか」と分析した。

 韓国政府は年間の予算執行目標279兆2000億ウォンの61%に当たる169兆7000億ウォンを上半期に執行した。これは当初目標を3兆5000億ウォン(1.3ポイント)上回る。さらに韓銀は6月に政策金利を過去最低の年1.25%まで引き下げた。

 しかし、企業は先行き不透明感から資金を投資せず、社内に留保している。全国経済人連合会(全経連)が売上高上位600社を対象に景況感指数(BSI)を調査したところ、英国の欧州連合(EU)離脱、産業構造調整などの影響で、今年は同指数が5月を除き、基準値の100を下回った。企業の設備投資は1-3月、4-6月ともに前年同期を2-4%下回った。設備投資が前年を下回ったのは、欧州財政危機の直後の13年4-6月以来2年半ぶりだ。投資が委縮すれば資金は企業に急速に蓄積される。今年上半期に企業が保有するM2の伸び率は4.1%で、家計・非営利団体での伸び率(3.2%)を0.9ポイント上回った。

 ハナ金融経営研究所長は「企業の資金需要が減少すれば、低金利、低成長の悪循環につながりかねない」と警告した。

崔炯碩(チェ・ヒョンソク)記者
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