そうすると、電力料金が6倍、7倍またはそれ以上になる恐れがあるのだ。これではまさに、「電気料爆弾」になってしまう。

 家庭用電力料金の「累進性」は韓国以外にもある。

 ただ、米国は2段階で1.1倍、日本も3段階で1.4倍程度だという。比較的累進性が強い台湾でも2.4倍で韓国の12倍近い累進性はあまり例がないという。

 どうしてこんなことになっているのか。

1974年に導入

 韓国紙デスクはこう説明する。

 「そもそも家庭用電力料金に累進性が導入されたのは石油危機の1974年だった。『贅沢はするな。貴重なエネルギーは産業向けに重点投入しろ』ということで、家庭用にだけこういう制度が導入された。それからちょこちょこと累進度は修正しているが、基本的な仕組みは維持されている」

 1974年といえば、韓国が「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれた高度経済成長に突き走っていた時だ。独裁政権だった時代でもある。「一滴の石油も大切にせよ!」という大号令で、いろいろな工夫が打ち出されていたのだろう。

 まさに「懲罰的」ともいえる現行の累進性は、この時代に導入されていたのだ。

 ある企業人は、「累進性を緩和すべきだという意見は以前からあったが、2011年9月に猛暑と一部原子力発電所の稼動中断などが重なってブラックアウト直前に陥ったことなどで、節電の重要性が叫ばれたこともあって、うやむやになっていた」と語る。