現在
ドイツの
新聞や
雑誌や放送局で普通に使われる用語であるが、第三者の書籍で「フライブルク楽派」の名が使われたのは、Lukas Christensen, Monika Fink (Hgg.) WIE BILDER KLINGEN; Tagungsband zum Symposium Musik nach Bildern (Innsbruck, 16.-18. April 2010)
[1]の241ページの脚注である。そこにはしっかりとFreiburger Schuleの名が使われており、
クラウス・フーバー門下を
ケルン楽派と対比させる目的で使用したことがうかがえる。当事者の書籍でその名が使われるのは、
クラウス・シュテファン・マーンコプフ著Kritische Theorie der Musik Velbrück Verlag, Weilerswist 2006の35ページに「フライブルク楽派」と名付けた章があり、この書籍を以って「フライブルク楽派」の存在が明示されたことになっている。
現代音楽業界で猛威を振るった
ケルン楽派に比べて、個人の思想的自由がよりスタティックな音色に傾斜することが多い。非常に厳密なテクスチュアで有名なブライアン・ファーニホウは、「バス・
フルートと8トラック
テープのための《ムネーモシュネー》」では数十秒に及ぶ長いフェルマータを伴う音色トリルで静謐に始まる。細川俊夫は現在もPPの静謐な原体験に基づくオーケストラ音楽を書き続けている。カイヤ・サーリアホも初期の作品は動的であったが、近年の愛に関する一連のオペラ作品は複数個の全音符をタイでつなぎとめるなど、非常に長大な持続を伴う。このようにスタティックな音楽観であっても表現するための書式が時として非常に込み入ったものになるため、それを実現する演奏家の人脈がかなり限られることも挙げられる。ただし、近年の演奏家の水準は上がる一方であるため、初期にフライブルク楽派と行動を共にした演奏家が教授になり、その弟子が水準を高めているといった状態が、1990年代の
ダルムシュタット夏季現代音楽講習会で頻繁に見られた。
現在はフライブルク音楽大学からサン・ディエゴ音楽大学へ移籍したばかりのブライアン・ファーニホウに師事した
ハヤ・チェルノヴィンがフライブルク楽派の構成員としてダルムシュタット夏季現代音楽講習会で教鞭をとっている。彼女の弟子も
クラーニヒシュタイン音楽賞を2016年に受賞している。ヌネスはフライブルク音楽大学やパリ音楽院とは別にIRCAMでも指導しており、その時期の弟子に
ヴァレリオ・サニカンドロがおり、彼もフライブルク楽派の構成員として旺盛な活動を見せる中、たびたび来日して日本でも作品の上演を持っている。
- ^
lit-verlag
- ^
Mahnkopf, Claus-Steffen: Neue Musik am Beginn der Zweiten Moderne, in: Merkur 594/595 (1998), S. 864-875
参考文献[編集]
- Claus-Steffen Mahnkopf Kritische Theorie der Musik 294 Seiten, broschiert 3. Auflage 2015
ISBN 978-3-938808-04-7
- Lukas Christensen, Monika Fink (Hg.) Wie Bilder klingenTagungsband zum Symposium "Musik nach Bildern" Reihe: Musik und Kultur Bd. 1, 2. Auflage, 2011, 312 S., 24.90 EUR, 24.90 CHF, br.,
ISBN 978-3-643-50184-4
- Ferdinand Zehentreiter (Hg.) Die Musik von Claus-Steffen Mahnkopf Biographie, Werkverzeichnis 368 S., zahlr. Nbsp., Pb., € 34.80, 978-3-936000-95-5
外部リンク[編集]