韓経:「大宇造船惨事」の再発を防ぐには=韓国

韓経:「大宇造船惨事」の再発を防ぐには=韓国

2016年08月16日10時58分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
comment
0
share
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixi
  大宇(デウ)造船海洋は韓国不良企業史の中でも「大型惨事」として記録されるには充分だ。7兆ウォン(約6400億)台の公的資金が投入された同社を2006年以後に引き受けたOB・現職の社長3人〔南相兌(ナム・サンテ)・高載浩(コ・ジェホ)・鄭聖立(チョン・ソンリプ)〕が横領と背任受財容疑で検察に拘束されるか、捜査線上に上がっている。大株主である産業銀行(KDB)の元トップ3人〔ミン・ユソン・姜万洙(カン・マンス)・洪起沢(ホン・ ギテク)〕も大宇造船関連の不正容疑で捜査を受けている。このように10余年間の経営陣・大株主関係者が全員腐敗容疑者となった会社は類例をみない。

  ◆民営化の機会をことごとく逃す

  この悲劇は大宇造船が長らく「オーナー不在の会社」だったことに起因するというのが大半の意見だ。同社は大宇グループが解体される過程で2000年に産業銀行の子会社になった。資産10兆ウォンを越える世界的な造船会社がオーナー不在で国策銀行の管理を受けた歳月が17年。その間、社長から社外重役の選任まで政界と政府が関係してうまみを吸い、専門性も責任感もない大株主はただ傍観するのみだった。このような会社が腐敗しなかったなら、それこそ変だったかもしれない。

  大宇造船にオーナーを探す機会がなかったわけではない。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権だった2005年、オーナーを探す売却が進められた。だが、政界と労組が反対した。当時与党だった「開かれたウリ党」は特定企業に大宇造船を渡してはいけないと主張した。従業員の株式所有組合に一部持分を売却し、残りは国民株として売却しようと提案した。オーナー不在のままで会社を残そうということだった。それは労組の強い希望事項でもあった。

  李明博(イ・ミョンバク)政権だった2008年にも大宇造船はオーナーを探そうとしていた時があった。大宇造船の売却入札で6兆3000億ウォンを掲げたハンファが優先交渉対象者に選ばれた。しかし、世界金融危機を迎えたハンファが代金分納を要請したことに対して産業銀行が拒否を示して売却が立ち消えになった。

  政府や産業銀行が大宇造船のオーナー探しに積極的でないのには理由がある。彼らの境遇からは大宇造船を売却しても得するものがない。売却して称賛されもしなければ、経済的利益もない。落下傘の席と嘆願の窓口一つが消えるだけだ。これまで投じた公的資金より一銭でも安く売れば「安値売却」と叩かれて大変な苦労をするのが火を見るより明らかだ。2003年、外換銀行をローンスターに売却し、安値売却だと叩かれて拘束された辺陽浩(ピョン・ヤンホ)当時財政経済部金融政策局長の事例から始まった「辺陽浩シンドローム」はまだ鮮明だ。

  ウリィ銀行の民営化が遅々として進まない理由も同じだ。政府が今まで投じた12兆8000億ウォンの公的資金を全て回収するほどの高値で売却することは非常に骨の折れる作業であるのが現実だ。いつ売却しても安値売却争いが起こることになっている。「売れば非難、売らなければ利益」なのに、どこのバカが売ろうと思うだろうか。

  ◆安値売却、バッシングはやめよう

  オーナー不在の会社が相対的に競争力が落ちるのは常識だ。造船業種で同じ波風を体験しながらも現代重工業とサムスン重工業では発生しなかった不正が大宇造船だけで大きくなったことからも分かる。大宇造船、ウリィ銀行だけでなく構造調整の過程で量産された「無主空山(オーナー不在)企業」のオーナー探しが急務な理由だ。

  ひとまず売却した人に賞を与えることができなくても、バッシングをするのはやめよう。透明な手続きで売却したのなら安値売却だのなんだのとをあれこれ言いつらうのはやめよう。不良企業に投じた公的資金は会社を再生させるために使った埋没費用なので忘れてしまおう。それが大宇造船のような「大型惨事」の再発を防いで国家経済に資する道だ。
【今日の感想】この記事を読んで・・・
興味深い
悲しい
すっきり
腹立つ
役に立つ

今日のイチオシ記事