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朴大統領 穏当だった光復節演説

 日本の終戦の日は、韓国では、植民地支配から解放されて光を取り戻した「光復節」と呼ばれる。

     韓国の朴槿恵(パククネ)大統領はきのうの記念式典での演説で、日韓関係について「歴史を直視する中で未来志向的な関係を新しく作っていかなければならない」と述べた。

     慰安婦問題での昨年末の日韓合意を契機とした関係改善の流れが反映された。安倍晋三首相の歴史認識を警戒する言葉を繰り返し、慰安婦問題の早期解決を迫った昨年までとは様変わりした。

     日韓はここ数年、政治指導者がナショナリズムを刺激して互いの国民感情を悪化させてきた。そうした悪循環から脱しつつあることを歓迎したい。

     合意の履行も進んでいる。元慰安婦に対する支援事業を行う「和解・癒やし財団」が韓国で設立され、岸田文雄外相は先週、10億円の速やかな拠出を表明した。こうした環境が「未来志向」の強調につながったのだろう。

     朴大統領は、北朝鮮の核問題によって北東アジア情勢が緊迫の度合いを強めていると指摘してから日韓関係に触れた。そして、日本への短い言及に続けて「漠然とした期待ではなく冷徹な現実認識に立脚した」思考が必要だと述べた。

     政治的に敏感な対日政策に深入りすることなく、日韓関係の改善が安全保障面からも必要だという考えを示したようだ。

     実際に、北東アジア情勢は厳しさを増している。

     北朝鮮は核・ミサイル開発をやめようとしない。米韓が最新式ミサイル防衛システムの在韓米軍への導入を決めると、中国は反発して非協力的な姿勢に逆戻りした。中国は、日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した北朝鮮のミサイル発射を非難する国連安全保障理事会の報道声明にも反対した。

     日韓両国にとって、米国を含めた3国の連携強化はきわめて重要だ。日韓関係の改善を安保協力にも発展させたい。そのための基盤が昨年末の日韓合意である。

     だが、韓国では依然として合意への反対論が強い。韓国世論の理解を得るためには、財団の事業を早く軌道に乗せる必要がある。合意の履行へ向けて日韓でさらに協力していきたい。

     それにもかかわらず、韓国の国会議員がきのう竹島(韓国名・独島)に上陸した。8月15日という象徴的な日に、このような行動を取ったことは残念である。

     「未来志向」の日韓関係を実現するためには、相手に対する礼節が欠かせない。そうした姿勢が両国ともに求められる。

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