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GDP伸び鈍化 民間の創意が試される

 今年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比0・2%増だった。1〜3月期の2%増から伸びが大幅に鈍化した。

     アベノミクス開始から3年半あまりが経過したが、日本経済は停滞から抜け出せず、財政出動と金融緩和頼みの政策運営は限界を迎えている。企業が自らの生き残りに向け、創意工夫をこらし、民間主導の成長を担う時ではないか。

     4〜6月期のGDPで伸びが目立ったのは5%増えた住宅投資だ。日銀のマイナス金利政策で住宅ローン金利が低下したのが要因の一つだ。

     公共投資も2%強増えた。2015年度補正予算に盛り込まれた公共事業の執行が本格化したからだ。

     こうした政策の下支えによっても成長率は低水準にとどまった。GDPの約6割を占める個人消費が0・2%増と勢いを欠くためだ。

     設備投資は0・4%減とさらに低調だ。円高で企業の業績が圧迫され、投資に慎重になったとみられる。

     アベノミクスは「財政出動と金融緩和で景気を下支えし、その間に成長戦略を強化して民間主導の成長につなげる」ことを目指してきた。

     当初は金融緩和に伴う円安で企業収益が改善した。これに伴い、企業が持つ現預金など「内部留保」は300兆円を超えている。一部でも、新たな市場を創出する投資に回せば、消費を喚起する可能性がある。

     日本経済の実力を示す潜在成長率は0%台に過ぎない。少子高齢化や人口減少で国内市場は縮小し、成長力は低下している。

     新たな市場を切り開くための企業の創意が試されている。円高など経営環境は厳しいが、投資した分野が育てば、将来得られる利益は大きいはずだ。

     今後の成長のかぎを握る動きとして注目されているのは、第4次産業革命だ。あらゆるモノをインターネットにつないで利便性や生産性を高める「IoT」や、ビッグデータ、人工知能、ロボットなどの開発で、どこまで主導権を確保できるかが企業の国際競争力を左右する。

     日本が米欧に後れを取っている分野も多く、巻き返しが急務だ。大企業から中小企業まで裾野も広い。企業が製品やサービスの付加価値を高めれば、経済全体を底上げし、民間主導の成長を導く土台になる。

     政府は今月、事業規模28兆円の大型経済対策を決めた。公共事業が中心だ。日銀も追加緩和を実施したが、「アベノミクスの加速」と称して財政・金融政策のアクセルを踏んでも持続的成長にはつながらない。

     成長分野に資金を呼び込むような規制緩和など企業が投資しやすい環境整備に徹すべきだ。

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