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【社会】

天皇陛下 2年連続「深い反省」 戦後71年「平和」強く願い

全国戦没者追悼式の会場から退席される天皇、皇后両陛下=15日、東京都千代田区の日本武道館で(沢田将人撮影)

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 終戦から七十一年となった十五日、日本武道館(東京都千代田区)で開かれた政府主催の「全国戦没者追悼式」で、天皇陛下は、戦後七十年に当たる昨年に続いて「深い反省」という表現をお言葉の中で使い、不戦と平和の希求に強い思いを述べられた。 (小松田健一)

 全国戦没者追悼式での天皇陛下のお言葉は、戦後五十年の一九九五年に「ここに歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」との文言が加わった。それ以降は二〇一四年まで毎年、ほぼ同じ表現を続けてきた。

 大きく変わったのは、戦後七十年の節目を迎えた昨年。追悼式では初めての言及だった「さきの大戦に対する深い反省」に加え、「平和の存続を切望する国民の意識に支えられ」「戦後という、この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき」など、戦後の国民が果たしてきた役割を強調する言葉が、随所に盛り込まれた。それまでの「歴史を顧み」は「過去を顧み」に代わった。

 今年のお言葉は一四年までの定型的な構成に戻り、これらの表現はなかったが「深い反省」や「過去を顧み」は残った。これらの言葉に先の大戦という負の歴史へ真摯(しんし)に向き合うことや、国民へ語りかけたいとの思いがにじむ。

 お言葉ではこの他、「終戦以来既に七十一年、国民のたゆみない努力により、今日のわが国の平和と繁栄が築き上げられました」と、国民が戦後の平和をつむいできたことを強調。その上で「過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないこと」を切に願うと述べた。

 追悼式では、全国から集まった約五千人の遺族らが約三百十万人の戦没者を悼み、平和を祈った。遺族らの献花を手伝う補助者は、戦争の記憶を次世代に継承する観点から、昨年までの厚生労働省職員に代わり、今年は初めて戦没者のひ孫世代となる十〜十七歳の男女十四人が務めた。厚労省によると、遺族の高齢化で参列遺族は減少傾向にある。

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