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「過去を顧み、深い反省」 陛下、戦没者追悼式で

全国戦没者追悼式でお言葉を述べ、一礼される天皇、皇后両陛下=15日午後、東京・日本武道館で

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◆安保法施行後初の「終戦の日」

 終戦から七十一年を迎えた十五日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京の日本武道館で開かれ、参列者が平和への誓いを新たにした。安全保障関連法の本格運用や憲法改正論議の加速が見込まれる中、安倍晋三首相は式辞で「戦争の惨禍を決して繰り返さない」と強調。ただ二〇一三年以降三回の式辞と同様に、歴代首相が触れたアジアへの加害と反省には言及しなかった。天皇陛下はお言葉で昨年に続き「深い反省」に触れられた。

 首相は式辞で「歴史と謙虚に向き合い世界の平和と繁栄に貢献する」と述べたが、過去三回と同じく「不戦の誓い」との文言は使わなかった。

 八日にビデオメッセージで生前退位に強い思いを示した天皇陛下は、皇后さまと共に参列。「過去を顧み、深い反省とともに戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和とわが国の一層の発展を祈ります」と述べた。ビデオメッセージ後に皇居外で取り組む初めての公務となった。

 式典には衆参両院議長や各界代表、全国の戦没者遺族約四千九百人が参列し、正午の時報に合わせ一分間黙とう。遺族代表の小西照枝さん(74)=広島県=は追悼の辞で「世界の平和、命の大切さを後世につなぐ」と誓った。

 戦争の記憶継承のため戦没者のひ孫世代となる十〜十七歳の男女十四人が献花者に花を渡す「補助者」を初めて務めた。

 参列遺族の最高齢は、夫がフィリピンで戦死した東京都の中野佳寿(かず)さん(百一歳)。最年少は五歳で、曽祖父が沖縄で戦死した沖縄県の宮城翔龍(しょうりゅう)君と、曽祖父のきょうだいが中国で戦死した神奈川県の小倉武士君。

 厚生労働省によると、追悼対象は、戦死した軍人・軍属約二百三十万人と、空襲や広島、長崎の原爆投下、沖縄戦などで亡くなった民間人約八十万人の計約三百十万人。今年、参列者に占めた戦没者の妻は0・1%。戦没者の孫など戦後生まれの人が二割を超えた。

 同省のまとめでは、三十八都道府県で自治体などによる関連行事があり、三万人以上が出席したとみられる。

 一方、首相は、九月召集予定の臨時国会から衆参両院の憲法審査会で改憲に関する実質審議を再開させたい意向だ。民進党の出方も見極めつつ、どのタイミングで改憲項目絞り込みに向けた議論に入るかが焦点となる。

 また政府は三月施行の安保法に基づき、武装集団に襲われた国連職員らを武器を使って救出する「駆け付け警護」など自衛隊の新任務実施に向けた訓練を始める。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)へ派遣する陸自部隊に十一月にも新任務を付与することを検討する。

 

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