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 「戦争は平和のためのたたかいです」「戦争、それは科学技術と文明の進歩をもたらします」――。こんなドキリとする文章と奇妙な絵による「戦争に負けないための二〇章」(共和国)が刊行された。逆説的な表現で「戦争とは何か」を考えさせる、たくらみに満ちた本だ。

 ドイツ文学者でファシズム文化研究者の池田浩士(ひろし)・京都大名誉教授(76)が文章を書き、染色画家の高谷(たかや)光雄・京都精華大名誉教授(74)が絵を描いた。安全保障関連法が成立する直前の昨夏、池田さんが危機感を同じくする高谷さんを誘い、出版にこぎつけた。

 「これは極右の本だと受け取る人もいるだろう」。池田さんは知人からそう指摘され、「うれしかった」と言う。「正しいことが書いてあるものではない。何かを受け取って、家族、友人らと語り合う素材にしてもらい、言葉以前に(戦争に)ノーといえる感性を育てたい」と話す。

 一方、高谷さんは「絵を見て感じて、そこから何かを考え、行動してほしい。戦争などについて具体的に考えるときに文章が役に立つはずだ」と話す。

 巻末には、戦争について考える際に参考になる、と池田さんが選んだ20冊のブックガイドが付く。1944円。