おとぎ話
この星にはこんなにたくさんの人が乗っていて
時速1700キロの回転を共にしている
星はときどきしゃっくりをする
星はときどき泣きじゃくる
星はときどき裏返る
その度に人は少なくなって
命の営みでまたもとに戻る
人の誕生にはいくつか線が引かれていて
どれもこれも当たり前でいいかげん
紀元前っていつまであるの
こんなに宗教はたくさんあるのに
キリストの誕生で
西暦が始まるのはなぜ
裁判では証拠が必要なのに
歴史には証人が見当たらないのはなぜ
「だから科学があるのだ」と鼻先を上に向けて歩いているけど
おとぎ話の方が正しかったりする
未来に行く度に過去が分かるから
過去が解明されたら未来が止まってしまいそう
人はもともと身元不明
ダーウィンさん、
人は人から始まったのだよ
お猿さんはお猿さん
海底に沈んだ遺跡を観てきた
1万年前の文明だという
科学はそれを認めない
科学は謎に追いつかない
人はときどき少なくなるから
どこかで何度も事実が途絶えてる
この星はもうすぐ人が住めなくなると
僕の本能が囁いている
最近この星の従兄弟が見つかった
水も空気もあると言う
だからあんなに歓喜した
そろそろお引越しの準備に入ってる
僕たちはお引越しに間に合わない
「その昔青い星があってね」と
いつかおとぎ話になるのだよ