21名の候補者は、全員が「選ばれし者」である
2011年4月10日、2012年12月16日、2014年2月9日、そして2016年7月31日──。本来であればオリンピック同様、「4年に1度」しか行なわれないはずの都知事選挙が、この5年半足らずの間に4回も行われている。
今回の選挙にかかった経費は約48億円。東京都の人口は1361万人(7月31日時点)だから、都民一人あたり約352円を負担した計算だ。
これが高いのか安いのか、はたまた、舛添要一都知事(当時)を辞任に追い込んでまで選挙をやる必要があったのかどうかはさておき、選挙は民主主義の根幹をなす一大イベントだ。だから多額の経費をかけるのであれば、「都民のためになる選挙」であってほしいと願うのは筆者だけではないだろう。
しかし、今回の都知事選をめぐる報道を見ていると、極めて残念な結果に終わったと言わざるを得ない。それというのも、7月14日の告示から7月31日の投開票日までの選挙期間中、多くメディアが取り上げたのは、いわゆる「主要3候補(鳥越俊太郎候補、増田ひろや候補、小池ゆりこ候補・届出順)」に限られたからだ。
筆者は都知事選が行なわれるたびに、可能な限り全候補者に接触して取材を試みる。それはすべての候補者が300万円という決して安くない「供託金」を納めて選挙に臨むことを知っているからだ。 公職への立候補者は、顔を出し、名前を出し、過去の言動まで遡って調べられ、すべてを有権者の前にさらけ出すことになる。そのリスクを考えれば、とてもではないが「冷やかしで立候補している」と切り捨てることはできない。
そもそも、「自分が立候補できるか」と問われたら、即座に「NO」と答える人がほとんどだろう。その意味でも、すべての候補者は有権者に選択肢を提供する「公共心にあふれた義勇の志士」だと思っている。だから筆者は常に最低限度の敬意は失わずに候補者たちに接触する。
2/3の候補者が事前に出馬を断念
もう一つ、重要な視点を提供したい。今回の都知事選では、選挙管理委員会に立候補届出書類を取りに来た人の数は64人もいた。そこから実際に立候補したのは21人。つまり3分の2以上が出馬を断念した。その意味では、今回立候補までこぎつけた21名の候補者は、それぞれが出馬までの高いハードルを飛び越えてきた「選ばれし者」だと言えるだろう。
地方の選挙では、候補者が一人しかいないために無投票で当選が決まることもある。つまり、有権者に選択肢が与えられない。そうした状況を考えれば、選択肢が21もあった東京はきわめて幸せな都市である。
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