多鹿ちなみ
2016年8月13日16時34分
聴覚障害者に対して「筆談での対応もしていない」と予約を拒否した飲食店が話題になる一方で、聴覚障害者にどう接客したらよいかを尋ね、メニューの説明にかわいいイラストを用意した山形市の居酒屋が、ネットで共感を呼んでいる。
山形県上山市の佐藤万美さん(39)が、聴覚障害者向けの電話リレーサービスを使い、山形市の「酒場やっしょまかしょ」に予約を入れたのは7月末。返ってきたのは「聴覚障害の方は初めてなんですが、当日はどうしたらいいですか」という言葉だった。ふだんは「聞こえる方も一緒ですか」「他の店をあたってください」と言われることが多く、「分からないことを遠慮せず、前向きに聞いてくれた」ことがまず、心に染みた。
30日に夫と店を訪れて料理を注文したら「炙(あぶ)りメ鯖(しめさば)です」「ばーなー あぶります!」「レモン しぼってください」というイラストが登場。レモンをしぼると「いいしぼりです!! ナイスレモン」と2枚目のイラストも出てきた。「忙しい中で考えてくださったんだ」とさらに感動し、ツイッターなどに投稿した。瞬く間に拡散、「これぞ、本当の接客」「涙出てきましたわ」と多くの人が反応した。
佐藤さんは「他の店では(耳の聞こえる)夫に話しかけるだけということが多いのに、わざわざイラストまで用意してくれた。障害者ではなく、一人の人間として見てくれたことがうれしかった」と振り返る。「障害者への悲しい事件が続いている。こんなお店がもっと増えてくれたら」と願う。
予想外の反響に店長の飯鉢隆弘さん(37)は「たまたま絵のうまいアルバイトがいて、他のお客さんと同じように楽しんでほしいなと思っただけ。ニコニコ帰ってくださってよかった」と話している。(多鹿ちなみ)
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朝日新聞社会部
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