テニスの錦織が全米オープンで初戦敗退。どうしてこうなった? ──
テニスの錦織が全米オープンで初戦敗退。
これで昨年のポイント 1200ポイントを失い、ランキングは大幅に低下する見込み。
→ テニス - 男子世界ランキング
ここ1年間は4〜5位ぐらいだったが、今後は7〜8位ぐらいをうろうろすることになりそうだ。
本人は大ショック。
→ 錦織圭 全米初戦敗退ショックを告白
→ モチベーションがもの凄く下がってしまいました
理由は何かと問いかける記事もある。(回答はない。)
→ 錦織圭、まさかの初戦敗退 何があった?
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謎に感じている人が多いだろうが、別に、謎でも何でもない。今回の全米オープンはひどい結果になるだろう、と私は予想していた。それだけではない。ここ1年間、4大・大会で、いずれも結果は思わしくなかったが、それも私の予想通りだ。
( ベスト8、2回戦、ベスト8、1回戦 ……という結果。ベスト4に残ったことはいっぺんもない。)
まったくの期待はずれだが、「予想通り」とは言える。このくらいの悪い結果になることは、十分に予想できた。
なぜか? 理由は「疲労(過労)」だ。
錦織は、4大・大会の1カ月ぐらい前から、中くらいの大会に連戦で出場し続ける。それで優勝したりして、ポイントと金を稼ぐが、疲労が高まって、故障寸前になるか、実際に故障してしまう。
故障した場合には、4大・大会の1〜2週間前から、治療を続けるが、4大・大会になったときは、病み上がりで、まともな結果を出せない。(今回もそうだ。)
故障していない場合には、4大・大会の最中に故障が発生するか、疲労で調子を落とす。全豪ではベスト8で、ワウリンカにストレート負けした。全仏ではベスト8で、あまり強くない相手にフルセット負けした。ウィンブルドンでは2回戦で、故障で棄権した。今回の全米オープンでは、初戦で敗退した。
以上のいずれも、4大・大会の1カ月ぐらい前に、過密日程で疲労を大幅に蓄積した。普通の選手ならば、1週おきに出場して、疲労の回復に努める。しかし錦織は違う。2週間連続して出場し、いずれも優勝または準優勝まで突っ走り、休むことなく、疲労を大幅に蓄積する。その末に、故障して、次の2週間を棒に振るか、疲労が蓄積したまま、4大・大会に入る。
要するに、調子がいいからといって、無理をして連戦連勝を続けたあと、疲労して、故障して、最悪の調子のまま4大・大会に入る。馬鹿としか言いようがない。
これも、最初の1〜2回ならば、仕方ないと思った。しかし、昨年のツアーファイナルのときに、これのやり方で失敗したあと、今年の4大大会でいずれも同じ失敗を繰り返している。5回も続けて、同じ失敗を繰り返している。こんなに「失敗に学ばない」という人も珍しいね。
ま、普通の人なら、次のようにする。( ◯ と休みを、週ごとに交替する。)
◯ 休 ◯ 休 ◯ 休 ◯ 休 ◯ 休 ◯ 休 ◯ 休
これで、出場する試合は常に、最高の調子を続けることができる。
ところが錦織は違う。こうだ。
◯ ◯ 故 故 △ 休 休 ◯ ◯ 故 故 △ 休 休
故障が直ったら、勇んで、連戦で出場する。しかし、それでまた故障してしまう。故障明けで4大・大会に出場するが、コンディションが悪いので、不十分な成果(△)しか出せない。そのあとは休んで、回復するが、回復したあとで、またしても連戦で出場して、また故障する。……全部をまとめると、いっぱい出場しようとすればするほど、故障で出場できない期間が増える。
休むことの大切さを理解できないと、こういう結果になる。
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なお、錦織と正反対なのが、ジョコビッチだ。彼は、4大・大会の直前の1カ月ぐらいは、他の試合に出ないことが多い。4大・大会の優勝だけに狙いを絞って、そのための調整(適度な練習)に専念するわけだ。無理をして試合に出ずっぱり、というようなことはしないわけだ。
賢明な人間は、休むことの大切さを理解できる。
2015年09月07日
過去ログ
しかし、錦織圭の選択枝はそれしかないようです。ジョコビッチはポイントの大きな、マスターズやグランドスラムに出場して、ほとんど決勝まで進むことができ大量にポイントを稼げるため、適度に休息できます。一方、錦織圭はマスターズ以上の試合ではビッグ4他の強豪に当たると容易に勝ち進めず、ポイントをあまり稼げません。なので、ビッグ4他の強豪が出ない優勝250ポイントや500ポイントの試合に多く出場してポイントをシコシコ集めることで世界ランクを上げ、マスターズやグランドスラムでは早い段階で強豪に当たらないようにするしかないですね。
また、巨人選手が多い男子テニス界の中では相対的に体格が劣っているため、優位に戦うためには、敏捷に動くことで力学的に合理的な打ち方をして球威のある打球を厳しいコースへ打ち込むしかないですね。結果、ジョコビッチなどに比べ疲労度が溜まるのはやむを得ない事情があります。
しかし、そのことを恥じる必要はないと思います。体格・膂力に劣るのは日本人DNAの宿命であり仕方がない。それに打ち勝っているのだから誇るべきことですね。
錦織圭の弱点は心にあると見ています。分が悪くなると感じると真剣にプレイしなくなる。ロジャーズ・カップの準決勝の対マレー戦で、いつものやり方(安全なラリーを続けているうちに相手が甘い返球すれば、攻撃に移る)が全く通用しないと感じると、無理な体勢から一発で決める戦術をとったため、精度が大幅に低下して一方的なゲームになりやる気を失った。それ以後はふてくされたプレイをして惨敗し、観客からブーイングを浴びた。真剣にプレイして負けるのが嫌なのでしょうね。それより力を抜いたので負けた、あるいは体調が悪いので負けたという形をとりたがる。全米の1回戦も同じ心の弱点のため負けたと見ています。ランク下でも体格・膂力において相手の方が優位であり、なおかつ「勝敗は気にしない。テニスを楽しもう」と積極的な姿勢でプレイされたら、ランク4位としては軽くあしらって勝とうなどという誤ったプライドで試合に臨めば、取りこぼすのは当然のことです。全米オープン2015は、準決勝までいける最高のチャンスであったのに、それを自ら失った。
錦織圭が大きな成果を上げるためには、ラファエル・ナダルのように出場した試合には誠心誠意、ベストなプレイをすることでしょう。安全なラリーをしているうちに甘い返球を待つのではなく、早期からやや厳しいコースで相手を走りまわせて疲労を蓄積させるやり方にすべきです(なかなか決まらなくても、準ポイントを得ていることになります)。カッコ良く勝ちたい。懸命にやって負けるとカッコ悪い。などの誤ったプライドを捨てることでしょう。
敏捷に動き回れる若さは、あと3年間くらいでしょう。出し惜しみしていてはもったいないです。2016年度は素晴らしいベストシーズンにしてもらいたいですね。
もちろんそうするべきなのですが、現状のように「連続出場」をすると、疲労の蓄積のせいで、故障期間が長くなり、優勝250ポイントや500ポイントの試合に《 少なく 》出場する結果になります。
◯ 休 ◯ 休 ◯ 休 ◯ 休 ◯ 休 ◯ 休 ◯ 休
ならば、7回出場して、ポイントを稼げます。
◯ ◯ 故 故 △ 休 休 ◯ ◯ 故 故 △ 休 休
ならば、まともに出場できるのは4回で、他に途中棄権が2回あるだけです。ちゃんとポイントを稼げるのは4〜5回だけ。7回出場よりも、ポイントを稼げなくなります。
あと、錦織選手は、ベスト8ではなくベスト4に入る実力があるので、体調さえよければ、ベスト4で大量のポイントを稼げます。250で優勝ポイントを稼ぐよりも効率的ですよ。
250で優勝ポイントを稼いだ方がいいのは、10位ぐらいのランキングだった時代のことです。今では違います。4大大会のベスト4を狙うべきです。1週おきに休めば、それが可能です。
最適化問題ですね。ただ、錦織圭の近辺に最適化問題を解けるアドバイザーがいれば良いのですが。