韓国人の夫婦が「中国国籍の10代の卓球選手を養子にし、韓国代表選手として育てたい」として養子縁組を申請したのに対し、ソウル家庭裁判所家事22部(キム・ヒョンリュル裁判官)は14日、申請を許可しなかったと発表した。
家裁は「原告夫婦は卓球選手の技術や、韓国国籍の取得を希望していることを理由に、養子縁組は適切だと主張しているが、国際大会への出場や国籍取得を目的に養子縁組をしたいという主張は納得できない」と説明した。その上で「当該選手は実の両親の下、円満な環境で成長し、最近中国の名門大学に進学しており、原告夫婦とは特に親しい関係でもないという点などを考慮すると、養子縁組は当該選手を幸せにするものとは考えにくい」と述べた。原告夫婦は養子縁組申請の不許可は不当だとして、最近抗告した。
家裁によると、今年初め、原告夫婦を含め「中国の未成年の卓球選手を養子にし、国際大会に出場させたい」という4件の申請が受理されたという。この中には、過去に五輪で金メダルを獲得した有名な選手も含まれていたとのことだ。なお、家裁が不許可とした申請以外の3件のうち、2件はその後、申請が取り下げられた。
中国の卓球選手が外国の国籍を取得するのは、世界的に一般化している現象だ。中国は卓球選手として登録されている人が3000人に達しており、選手層が厚く、世界レベルの選手も多い。それだけ、国際大会に出場するのも難しい。このため、幾つかの国が帰化などの形で中国の選手の受け入れに積極的な姿勢を見せており、中国の選手も外国に渡って国際大会に出場するケースが多い。リオデジャネイロ五輪でも、米国代表選手6人のうち5人が中国出身だ。韓国代表選手にも1人、中国から帰化した選手がいる。
ソウル家裁の関係者は「未成年者は養子縁組と同時に特別帰化を申請でき、3年以上の居住を求めている一般帰化に比べ、手続きも簡単で早いことから、養子縁組制度を活用しているようだ」と話した。だが家裁は、他人同士が親子の関係になる養子縁組制度が、本来の趣旨と異なり、五輪でのメダル獲得戦略に利用されるのは好ましくないとの見解を示した。