この夏。五輪と、ゴジラと
今日は15日、終戦記念日である。この時期になると、戦争当事者であった日本という国を意識せざるを得ない。
おりしもリオ五輪の真っ最中である。筆者もテレビ観戦で寝不足、疲れ気味である。競技は個人間の争いであるものの、選手がどこの国の出身であるかを否が応でも意識せざるを得ない。日頃、日の丸、君が代斉唱問題でうるさい左派系の人でも、五輪で日本選手が金メダルを取った場合の日の丸、君が代斉唱では無粋なことをいわない。
五輪はほどよいナショナリズムを高揚させてくれる国際イベントだろう。ただし、五輪は平和の祭典であり、第一次世界大戦時の1916年第6回ベルリン大会、第二次世界大戦時の1940年の第12回東京大会、1944年の第13回ロンドン大会は中止されている。五輪が行われているときは、世界規模の大きな戦争がないということだから、感謝しなければいけない。
この夏は、映画「シン・ゴジラ」でも国を意識する。このコラムでも、映画「シン・ゴジラ」の評論があるが、筆者がこれから述べることは社会的評論ではなく、単なる感想だ。
「シン・ゴジラ」については公開初日の7月29日、8月6日と二回観た。筆者はゴジラオタクであり、本作を含め国内版29作、海外版2作について、すべてほとんど映画館で観ている。
「シン・ゴジラ」では、首相官邸などでの会議シーンが多く出てくる。もちろんゴジラは架空の話であるが、官邸会議の様子や政策決定までの手続き、法律の運用などの部分にはリアリティーがある。
公開中の映画なので、詳細な内容はネタバレになるので言及しないが、左派系の人からは「2011年の福島第1原発事故が下書きになっている」「憲法改正論議の対象とされる緊急事態条項を正当化するために、政府にすり寄っている」「日米安保を強調しており、政治的意図がある」といった指摘があるようだ。
これはちょっと考えすぎだろう。これまでのゴジラ映画の国内版をみれば、ゴジラ以外の怪獣が登場するケースでは、地球防衛軍のような、地球規模の集団的自衛権の話になっている。
一方、初回の1954年のゴジラと、16作目の1984年のゴジラでは、相手となる怪獣はおらず、ゴジラ対人間の構図だ。その場合、当然ながら日本政府や自衛隊が出動することとなる。他のゴジラシリーズでも自衛隊が出てくるのはお決まりであるが、どのような兵器もゴジラにはまったく歯が立たず、政府がいろいろと苦慮する。
筆者には「シン・ゴジラ」が54年版と84年版をベースとしているように思えた。いずれもゴジラが東京に上陸するなど共通点も多い。
また、84年版では米ソが対ゴジラに核兵器を使うなど、「シン・ゴジラ」での国連安保理の作戦との類似点が多い。今作だけが取り立てて国際的な安全保障問題と結びついているわけではないので、左派系の感想は的外れではないだろうか。
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