中国の『人民日報』が最近、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国と韓中日3カ国のメディア関係者を北京に招いて「メディア協力フォーラム」を開いた。中国が「新シルクロード」として推進している「一帯一路プロジェクト」フォーラムの一環だった。ここに出席したが、思いもかけず中国人の攻撃的な姿勢に直面した。当初は慌てたが、後の方になると当惑した。
人民日報の社長やフォーラムの司会者らは「中国はよそに迷惑を掛けるつもりはないが、自分たちの正当な利益は絶対に放棄しない」と語った。「シルクロード・メディア協力」を話し合う席であっても政治・外交問題を取り上げることはできるが、こんな強い言葉が出てくるとは思わなかった。姿勢を改め、座り直した。人民日報側のある発言者は「日本、フィリピン、韓国は中国の人民を深く傷つけた」と言った。日本は尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題、フィリピンは南シナ海問題、韓国は高高度防衛ミサイル(THAAD)問題で傷つけたというのだ。尖閣諸島は日本側にも言い分があること、南シナ海の南沙諸島は公海上にあり、距離もずっとフィリピンの方に近いということ、北朝鮮の核で殺されないために韓国がやむを得ずTHAADを配備したことには、一切言及がなかった。
知っての通り、人民日報は報道機関ではなく、中国共産党の宣伝機関だ。フォーラムで公に顔を出す人は一人もいなかったものの、共産党の宣伝部が、何をどう書くか決める。どうやらフォーラム開幕に先立ち、党の宣伝部から「南シナ海問題とTHAAD問題を提起しろ」という指示が下ったらしかった。中国共産党は、北朝鮮の労働党のようにぞんざいな物言いはできないので、ぞんざいにモノを言うためのサイトがネットにある。そこは考慮に値しない暴言であふれかえっているが、ある人は「そこが中国共産党の本心を反映している」という。