真野啓太
2016年8月15日03時00分
被爆の実相を紙芝居で伝えようと、被爆者や長崎平和推進協会の有志らでつくる「紙しばい会」(三田村静子代表)が先月、長崎市の長崎原爆資料館で発表会を開いた。6月に国の文化審議会が校舎を史跡に指定するよう答申した、旧城山国民学校にまつわる4作品が披露され、高校生による朗読もあった。
同会の発表会は2008年から始まり9回目。被爆者の内田伯(つかさ)さん(86)の半生を描いた紙芝居ではイラストに写真を交えながら、原爆でぼろぼろになった親友と救援列車で再会した体験や、戦後は「目から消え去れば心からも消え去る」との思いから、爆心地となった地元の松山町の復元地図を作り、母校の旧城山国民学校校舎の保存に尽力した半生をたどった。
被爆者の高齢化が進む中、被爆体験をどう継承していくかは課題だ。発表会には内田さん自身も参加。紙芝居を発表した同会の山口政則さん(72)は「第三者が被爆者に成り代わり、だれもが語り部になることができるのが、紙芝居の有意義なところ」と語った。(真野啓太)
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