広島、長崎をこの夏訪れ、被爆者の言葉を胸に刻み込んだ県内の女子高校生が、スイス・ジュネーブに飛んだ。高校生平和大使の一員として、17日に国連欧州本部を訪問する静岡雙葉高1年石上恵さん(15)=静岡市=だ。現職米大統領の広島初訪問が衝撃を与えた戦後71年。米国の水爆実験で被曝(ひばく)した焼津の漁船乗組員の言葉とともに、「ヒバクシャ」の思いも伝えるつもりだ。

 英語劇部に所属する演劇好きの少女が戦争と平和について深く意識するようになったのは、中3の修学旅行で沖縄を訪れたことがきっかけだった。ひめゆり平和祈念資料館で沖縄県民の4人に1人が命を落とした地上戦について学び、米軍普天間飛行場の移設予定地である名護市辺野古では、過去と現在の実相を目の当たりにした。「普通に暮らすことができる今の生活が幸せなことに気づかされた」と石上さん。今年5月の高校生平和大使選考会に応募。県内の27人から唯一選ばれた。

 結団式や平和集会に参加するために広島や長崎を訪れ、広島平和記念資料館などを見学。おびただしい遺体が写った写真やボロボロに焼け焦げた衣服などの遺品に衝撃を受けた。語り部活動を続ける被爆者の力強さやひたむきな姿に胸を「ぐさりとされた」。やけどを負った被爆者からは「生まれたままの健康な体でいられることは、幸せなこと」と励まされた。

 核廃絶を求める街頭署名活動で…

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