1日、気象庁が東京湾で巨大地震が発生したとする情報を誤って発信したことで、一時的に大きな混乱を引き起こした。中国メディア・新華網は10日、この出来事について振り返るとともに、日本の地震速報体制に対する市民の姿勢などについて解説する記事を掲載した。

 記事は、気象庁が誤報を流したことで東京や千葉、埼玉、神奈川の一部鉄道が運転を一時中止するなどの影響が出たほか、携帯電話などの地震速報アプリが反応して多くの市民を驚かせたと紹介。しかし、気象庁が直ちに速報を取り消し、「雷による電気信号の干渉での誤作動の可能性がある」と理由を説明したことで、非常に大きなパニックには陥らなかったとした。

 また、日本のネット上では誤報に対して不満をこぼす人が多く見られた一方で、「地震の予知や警戒は難しいということを冷静に考える人もいた」と説明。そのうえで、新華社の元東京駐在記者が「総じて、日本の市民はこのような誤報に対して比較的寛容な態度を持っている」と解説、地震の予知は難しいテーマであり、現在の技術では予測が不可能であるうえ、速報も100%の正確性を保証できないことが理解されている点を背景に挙げたことを伝えている。

 さらに、この記者が「整った防災教育体系、地震訓練の実施も、日本人を地震に対して冷静沈着にさせている」と指摘、地震が発生して電車内が揺れたとしても、乗客が落ち着いて行動する素養を持っているとしたことも併せて紹介した。

 中国のネット上では、日本の緊急地震速報システムを地震予知システムと理解しているケースをしばしば見かける。周知の通り、緊急地震速報は実際に発生した地震波の性質を利用したものであり、地震の発生を前もって予知できるものではない。そして、沿岸や陸地で発生した地震については速報が間に合わないことも今では広く知られている。情報の正確さはさることながら、出される情報の意味についても正しく把握することが重要なのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)