【萬物相】夷をもって夷を制す

 朝鮮王朝末期から大韓帝国までの旧韓末と呼ばれた時代、日本は韓国のことが手に取るように分かった。わざわざ密偵を使わなくとも、情報がどんどん入ってきた。党派の争いから締め出された人々が吐き出す恨み言を聞くだけで、丸分かりだった。日本に牙をむいていた親清・親ロ勢力が、時代が変わるや顔色を変えて走り寄った。清の思想家、梁啓超は「強いものばかりを見て、ひたすら自分を庇護してくれるものに従った」と、韓国を批判した。大国を後ろ盾に互いに食い争っていたため、百姓たちは国が潰れても悲しめなかった。

 大国が朝鮮を篭絡(ろうらく)する方法は単純だった。内部の対立に油をたっぷり注ぎ、互いに争わせて自滅させたのだ。親日派が親清派を殺し、親ロ派が親日派を殺し…。そのうちに愛国者がいなくなると、国を手に入れた。100年ほど前の日本がそうだった。中国の帝国主義の歴史は2000年を超える。内部の分裂を助長し、鎮圧するという「夷(い)をもって夷を制す」の戦略が染みついていた。そんな歴史を十分に知っていながら、韓国社会は米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」をめぐり再び分裂している。本当に、宿命なのだろうか。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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