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底辺ネットライターが思うこと

ライフハック・キャッシング・美容ノウハウなどを全く書かない生活の何の役にも立たない底辺ネットライターのブログです。

ポケモンGOで変わる夫婦喧嘩の形

私たち夫婦は人が羨むほど仲が良いが、もちろん喧嘩もする。他の夫婦の頻度は知らないけれど、割と頻繁にする方だと思う。

夫は事なかれ主義で、ケンカになれば自分が悪くなくてもすぐに「ごめん」を連発するタイプだ。そして謝罪の言葉が軽く聞こえてしまうタイプだ。

対して私は根暗で粘着質で執念深く、良く言えば(?)白黒ハッキリ付けないと話を終わらせられないタイプだ。「ねぇ、その軽々しいごめんの連発に何の意味があるの?連発すれば重みが増すと思ってるの?」とか言ってしまう。自分でも相当嫌な女だとわかっている。よく結婚できたもんだ。

ただ、私がこういう態度を取れるのは世界で唯一、夫だけなので、私は人の愛し方が歪んでいるだけなのではないかと自分で思うし、夫もありがたいことにポジティブにそう解釈している。それに甘えてありのままで生きている。

「寝て起きれば怒りをおさまる」という先人の知恵を借りてみたが、私には意味がなかった。寝る時はとにかくイライラして眠れない。そして私は寝て起きた瞬間が一番感情が解放される性格ようだ。腹の底から湧き上がる怒りで目が覚める。そして朝っぱらから夫を起こしてケンカの続きを始める。夫は寝ぼけてわけがわからないまま「ごめんなさい」を連発している。もはや定番コントのようである。

先日も夜に少々ケンカをした。たわいもやいケンカだ。犬も食わない。

けれど私のはらわたは煮え繰り返るようで、とにかくイライラしたまま眠った。

目が覚めた。怒りと共に目覚めた。すやすや気持ち良さそうに眠る夫がそこにいる。私は怒りで目が覚めたのにと余計に怒りが増す。

しかし、私だって私の怒り方が人としてよろしい物と思えない。何とか自分を変えたい。いつか愛想を尽かされるんじゃないかという不安もある。どうにかして怒りを鎮められない物かと考えた。

ふと、夫のスマホがそこにあるのが目に入った。

夫のスマホの暗証番号は知っている。お互い、隠し事ができる性分ではないし、隠し事もないので二人とも暗証番号を教え合っている。私は何の気なしに夫のスマホを開いた。何か仕返しして怒りを鎮められないかと思ったのだ。

まず目に付いたのが、夫がハマっているポケモンGOだ。私の方が先に始めたが、夫の方がハマってしまった。レベルはもう10以上も差を付けられた。

アプリを開くと、ポッポがいた。

閃いた。

ポケモン捕獲モードに入り、ポッポに当たらないようにポケモンボールを原っぱに向かって投げ続ける。40個近くあったボールがなくなるまで。ポケモンボールを一つ投げるごとに、苛立ちを一つ投げ捨てるような思いだった。

「ボールがありません」の表示を見ると、すーっと溜飲が下がった。スマホを閉じて、そのまま二度寝した。何とも安らかに眠れた。

夫はその日の午前中、小さな声で「ポケモンボールがない」と呟いた。私の方を見た。目が合ったので「近くのポケストップに行ってきたら?」と返した。夫は私がボールを捨てたとすぐに気付いたようで小さな声で「すみませんでした」と言った。私は大いに笑った。夫も笑った。完全なる仲直りの瞬間だ。

それ以来、腹が立ったら夫の目の前で夫のスマホを手に取り、黙ってポケモンボールを原っぱに捨てるようになった。謝罪の勢いが変わった。軽い声の「ごめんね?」が野太い声の「すみませんでした!本当にすみませんでした!!」になった。

夫としては、通勤途中に稼げるポケモンボールぐらいで気が晴れるなら嬉しいけれど、いざレアポケモンに出会った時のためにゼロにするのだけは勘弁してくださいという感じらしい。本人談。

私も私で、嫌みったらしい言葉を吐くより気が楽な上に効果的でしかも何だかちょっと楽しい気分になる仕返しを見つけてしまった。夫婦喧嘩が一転エンターテイメント化している。

ものすごく腹が立った時に、お気に入りのポケモン(ピカチュウ)を博士に送ってしまおうかと思ったことがある。しかし、そこまでやってしまったら話が変わるだろう。許し合えないケンカに発展するかもしれない。ポケモンボールならいざとなれば課金で取り戻せるという安心感から私は思い切りポケモンボールを原っぱに投げ捨てることができる。夫も気難しい私のご機嫌取りを比較的簡単にすることができるやり方として、WinWinの関係と言えるのではないだろうか。

そんな夫婦喧嘩の形を築き上げた今年の夏。夫はポケストップと私のために暑い中たくさん買い物に行ってくれるようになった。ポケモンGO、ずっと流行ってくれてるといいな。