ロシア・トルコ首脳会談 関係修復で一致

ロシアのプーチン大統領はトルコのエルドアン大統領と、去年11月のトルコ軍によるロシア軍機の撃墜のあと初めて会談し、撃墜をきっかけに悪化した両国関係の修復で一致するとともに、立場の異なるシリア問題でも解決に向けて協力していくことを確認しました。
ロシアのプーチン大統領は9日、サンクトペテルブルクを訪問したトルコのエルドアン大統領と首脳会談を行いました。
両首脳の会談は、去年11月、シリアの国境付近で、トルコ軍がロシア軍の爆撃機を撃墜し、関係が悪化したあと初めてで、トルコ側がことし6月、謝罪と受けとれる書簡を送ったことで実現しました。
会談後の記者会見でプーチン大統領は「両国の関係を危機の前のレベルに戻すことが優先課題だ」と述べ、撃墜のあとトルコに科した経済制裁の解除を進める考えを示しました。
また、エルドアン大統領も軍事やエネルギーの分野で協力していく考えを示し、関係の修復で一致しました。
このほか、内戦が続くシリア情勢をめぐって、ロシアはアサド政権を擁護し、トルコは逆にアサド政権の退陣を求め、立場が異なりますが、プーチン大統領は「受け入れ可能な共通の解決策を見いだす」と述べ、解決に向けて協力していくことを確認しました。

関係修復に動いた両国の思惑は

ロシアとトルコが関係修復に動いたのは、両国とも経済への悪影響を食い止めたいことに加え、欧米諸国との関係が冷え込んでいるためです。
トルコ軍によるロシア軍機の撃墜のあと、ロシアはトルコに対し、観光や農業の分野で経済制裁を科しました。また、両国間のエネルギー分野の大規模な協力プロジェクトも進まなくなりました。
関係の修復は、それぞれの経済への悪影響を食い止めるため必要になっていました。
さらに、ロシアは、ウクライナ情勢などをめぐって欧米諸国と対立が続いていて、NATO=北大西洋条約機構に加盟しているトルコを引き寄せることで、国際的な孤立を避けるねらいがあるとみられます。
一方のトルコも、先月のクーデター未遂のあと続けている大規模な取締りが欧米諸国から強権的だと批判されているため、ロシアと接近して外交カードを増やしておきたいという思惑があるとみられます。