こんにちは。私は日々「アート・ウォッチャー」としてネット上の様々なアートを観察(ただ見てるだけ)しているのですが、芸術とはすごく範囲の広い世界で、道端の落書き(グラフィティ)なんかもすごくクオリティが高いものがあって、その作風も様々で、結構おもしろいんですよね。
そんなワケで、今回は個人的に注目しているグラフィティアーティストを紹介してみたいと思います。チェックしてみてください。
Obey
今やBANKSYと並びメジャーアーティストとして活躍しているOBEY(Shepard Fairey)。プロレスラー、アンドレ・ザ・ジャイアントをモチーフにしたアイコンを一度は見たことがあるカタもいると思います。彼はもともと有名美術学校の出身者で、ストリートに作品を発表していくことで、知名度高めていきました。その手法は作品をステッカーやポスターにプリントして街にばら撒いたことです。
それまでのグラフィティはスプレーやマーカーで壁に直接描くものが主流だったため、常に「一点モノ」でした。しかしステッカーやポスターは大量生産が可能であり、短時間で効率的に作品を人の目に触れさせることができ、手軽な手法です。
すでにグラフィティアート界隈では有名人となっていた彼の名をさらに一般に広く広めたのが出来事は、アメリカ大統領、バラク・オバマの大統領選ポスターを制作したこです。オバマの肖像に「HOPE」と描かれたこのポスターは、当初オフィシャルなものではなく、OBEY自身がオバマを支持したいと作成したものでしたが、発表後正式なポスターとしてオファーを受けることになります。そして、最終的にこのポスターは3000万枚を売り上げたとされ、経費を差し引いた利益はオバマ陣営への献金へと当てられました。そしてオバマはアメリカ大統領となり、OBEYはアーティストとして不動の地位を獲得したのです。
TILT
フランス人アーティスト。80年代半から活動しており長いキャリアを持つ。作風は古典的ないわゆるタギング、また独特の丸身を帯びたフォントを埋め尽くして描いた作品などが有名。
特筆すべきはその密度。埋め尽くすのが好きらしい。中でもホテルの部屋をキャンバスに、部屋半分をグラフティで埋め尽くした「PanicRoom」という作品が素晴らしいです!個人的に大好きな作品。
めちゃくちゃかっこいいですね!POPな色使いにセンスを感じます!
Nychos
オーストラリア人アーティスト。
彼の作品の特徴としてはキャラクターや動物を輪切りにしたり、皮膚を半透明に描くことで、その骨格や断面を描いている点。コミカルとグロテスクが上手く融合した作品です。
画力もさることながら、誰もマネできない斬新なアイデア、さらには解剖学の知識も相当なものであることがうかがい知れます。
そして作品が巨大!ビル丸ごと一棟ペインティングみたいなこともやってます!大きな壁にどうやったらこんなものが描けるのか、理解できません。
↑でっかww
INVADER
http://www.space-invaders.com/home/
神出鬼没のフランス人アーティスト。移動範囲がすごい。世界の都市に現れては作品を残していきます。彼の場合はスプレーやマーカーで描いた作品ではなく、モザイクタイルを張り合わせた作品を発表しています。その名のとおりインベーダーゲームの宇宙人のモチーフが中心なんですが、それ以外にも8bitのゲームキャラクターなどの作品も。タイルを使用することでドット絵との親和性が高い。
どの作品も街中にすんなりと溶け込んでおり、違和感がなく、あたかも元からそこにあったように自然です。グラフィティアート特有の毒々しさは皆無ですね。
ともすれば、グラフィティ自体に嫌悪感を抱く人にとっても受け入れられてしまいそうな「ほっこり感」がある。
HP上では世界各地で撮影された作品を見ることができます。ウォーリーを探せみたいで楽しいのでぜひ見てみてください。
インスタグラムでも世界各地に現れる彼の作品がUPされています!
Kidult
フランス人アーティスト。
これまで紹介してきたアーティストと違い、超問題児!!!
彼は特製の消火器にペンキを詰め、数メートルの高さまでペンキを噴き上げ、巨大なタギングを描いていきます。その標的となるのがエルメス、シャネル、クリスチャンルブタンといった高級ブランド。Kidulutはその様子を撮影し、まるでコラボレーションしたかのようにパロディのタイトルをつけてyoutubeにアップしています。
グラフィティアートの中でもこうした行為はVandalism(ヴァンダリズム)と呼ばれ、特に破壊衝動が高く視覚的・物理的な暴力性の強いものを指します。
SUPRIMEのポスターを勝手に改造
このように非常に過激な手法で自らの作品を発表しているKidult。作品自体に芸術性を求めること自体が難しいですが、有名ブランドを標的とすることで、自ずとニュースなどに取り上げられ知名度は上昇していきます。彼なりのプロモーションのようです。
しかしやられた方はたまったもんじゃない!
まとめ
まだまだ紹介したいアーティストはたくさん居るのですが、それはまた別の機会に。
グラフィティアートはBANKSYやOBEYのような成功者の登場で一般に知られるようになりました。しかし一方でそのほとんどは土地や建物の所有者に無断で行われる犯罪行為であることも事実。本エントリーはこうした行為を助長することを目的に書かれていないということを最後に書き添えておきます。