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夏のホラー2016 作者:神部 大
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二。


そのころ結婚するつもりでつきあっていた彼が、結婚をしぶりだした。
わたしは毎日のように彼の職場に電話攻撃。
結婚するの、しないの、とせめたてていた。

そんなある日、彼がきゅうに「海を見に行こう」とやさしく言う。
ひさしぶりのことなので、いそいそとお弁当など作ってはしゃぐわたし。

途中のガソリンスタンドで給油。
いつもは満タンにするのに、その日はなぜか10リッターだけとたのむ彼。ナゼ?
10リッターじゃ片道でカラになってしまうのに。
給油中、後部トランクからジャッキのハンドル部の鉄棒を取り出し、
何度も振り下ろしているのがバックミラーにうつる。ナゼ?
その鉄棒をだいじそうに運転席とドアの間にしまう彼。ナゼ?

さて、海岸に到着すると、今度は防波堤ぞいをフルスピードでいったりきたり。ナゼ?
防波堤のコンクリートのふちギリギリで急停車すること数回。ナゼ?

その彼とついに強引に結婚。
彼には、25mプールの底を一度も息つぎしないで泳ぐという特技があることを発見。
そして数年後に離婚。

ある夏の日、実家で新聞の婦人欄の記事を読んでいた。
記事は、車が海にダイブしたとき、水中で車の窓をたたきわるための鉄棒が、最近カーマニアに売れているという話。

そのとき、今までナゼナゼと横においといた過去のことが、
電撃的速さで、ジグソーパズルのようにぴしぴしとはまっていった。
おお、そうだったのか。死ぬかとおもった、なんて気づきもしなかった。。。



え、何で離婚したかって?
しょうがないわよ、
死別だから。
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