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カインとアベルー芸術のための聖書理解ー

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こんにちは、arto総研のToshiroです。いつもお読みいただきありがとうございます。今回は「カインとアベル」について紹介しようと思います。

 カインとアベル

「カインとアベル」は仏教や神道が中心の日本ではあまり有名ではないかもしれません。しかし「人類史上初の殺人事件」と聞くと「あぁ、あれか」と感じられる方が多いと思います。小説などでは「カインとアベル」を使ったものが多々あり、ホラーやサスペンスで利用されています。

カインとアベルの出来事はアダムとエバの楽園追放の後になります。

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楽園追放の後、アダムとエバには2人の子どもが生まれます。それがカイン、アベル、です。その後セトという3人目の子どもが出来るのですが、ここではカインとアベルの2人のお話になります。

カインとアベルの出来事を一言で言うならば、先ほども書いたように「人類史上初の殺人事件」です。兄であるカインが弟のアベルを殺害する、というものです。

カインは農夫、アベルは羊飼いとして労働に励みます。ある日2人はそれぞれの収穫物を神に捧げることになるのですが、神は弟アベルの捧げものを喜んで受け取ったものの、兄カインの捧げものに関してはそうでもない、という感じでした。

カインは衝撃を受けます。なぜアベルのものは喜び、私のものは喜ばないのか。神は私を嫌っているのか。神はアベルのみを愛しているのか。このような嫉妬はやがてアベルへの憎しみとなっていきます。カインはアベルを呼び出し、殺してしまいました。

これを知った神はアベルの死を悲しむと共にカインに対し「一生さまよう者となる」と宣告、カインは「私を殺す者が現れるのではないか」と恐れるのですが、神はカインが他者に殺されないようしるしを授けました。

なぜ神はカインを拒んだのか?
この理由は聖書には記されていません。そのため様々な解釈が行われています。一般的な解釈では、カインとアベルの信仰心の深さの違いによるものだと考えられます。弟アベルは神を深く信仰し、捧げものに関しても自分が行える範囲で最高のものを差し出しました。それに対し兄カインの信仰心はそれほど深くはなく、捧げものも普通のレベルのものだったため神はカインを拒んだのだと思われます。捧げもの云々ではなく信仰心の深さを神は見ていたのでしょう。しかし諸説あります、気になる方はぜひ調べてみてください。

カインとアベルに関する作品

『カイン、弟を殺す』

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カインとアベルに関する作品では多分一番有名だと思います。バルトロメオ・マンフレディの作品で、カインが今まさにアベルを殺害しようとしているところが描かれています。

『カイン』

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ロヴィス・コリントの作品。先ほどのカインは木の棒を持っていましたが、こちらでは石を持っています。カインの周りには烏が飛び交っていますが、これから起こるであろうカインの苦しみを暗示しているかのようです。荒々しいタッチが独特の緊張感をうまく表現しています。

『アベルを殺すカイン』

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こちらはバロック期の巨匠ルーベンスによる作品です。ルーベンス特有の肉体表現も凄いですが、2人の表情がすさまじいですね。

『アベルの死を嘆くアダムとイヴ』

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ブグローによって描かれた作品です。カインとアベルに関する絵画では、殺害する瞬間を描くことが多いのですが、本作では殺された後を描いたちょっと珍しい作品でもあります。

 

今回もお読みいただきありがとうございました。
Toshiroでした。それでは、また。

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