中世から続く宗教都市として今も賑わう、スペインの歴史的城壁都市クエンカ
wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はスペインの歴史的城壁都市「クエンカ」をご紹介します。
断崖の上に建つ「魔法にかけられた都市」
歴史的城壁都市クエンカは、スペイン中央部のカスティーリャ=ラ・マンチャ州クエンカ県の県都で、首都マドリードから150kmほど東に位置しています。
クエンカは、南北に流れるフカル川と東からフカル川に流れ込むウエカル川とに浸食されてできあがった標高約1000mの石灰岩の断崖と、そこにへばりつくようにひしめきあって建っている建築物の景観が有名で、「魔法にかけられた都市」とも呼ばれています。
クエンカは、南北に流れるフカル川と東からフカル川に流れ込むウエカル川とに浸食されてできあがった標高約1000mの石灰岩の断崖と、そこにへばりつくようにひしめきあって建っている建築物の景観が有名で、「魔法にかけられた都市」とも呼ばれています。
クエンカの街をはじめに造ったのはイスラムの人々でした。9世紀当時、クエンカのあるイベリア半島はイスラム教勢力とキリスト教勢力のせめぎあいの場所でした。イスラムの王朝である後ウマイヤ朝が首都コルドバの防衛のために、三方を川で囲まれた断崖に要塞を築いたのがクエンカの始まりです。
イスラム教とキリスト教の混じりあう街
要塞として築かれたクエンカでしたが、イスラム教のモスクなども建設され徐々に都市として発展していきます。そんなクエンカの歴史が大きく動いたのは12世紀のことでした。
「レコンキスタ」と呼ばれるキリスト教徒の国土回復運動を進めていたカスティーリャ王国のアルフォンソ8世が、1177年に9か月の籠城戦でクエンカの要塞を攻略します。
「レコンキスタ」と呼ばれるキリスト教徒の国土回復運動を進めていたカスティーリャ王国のアルフォンソ8世が、1177年に9か月の籠城戦でクエンカの要塞を攻略します。
それ以来クエンカはキリスト教化が進みます。司教座が置かれたため急速に人口が増え、崖上での生活が狭くなると、人々は崖下に新しい市街地を作ります。崖上の要塞だった場所には宗教建築物が建てられることになります。
中世を通じて織物工業で繁栄したクエンカでしたが、大航海時代を迎えると経済的には衰退期に入ります。人口も最盛期には16000人だったのが4000人ほどまで落ち込みました。しかし、宗教的な面では地域の主要都市としてなおも繁栄し、それが現在にもつながっています。
中世を通じて織物工業で繁栄したクエンカでしたが、大航海時代を迎えると経済的には衰退期に入ります。人口も最盛期には16000人だったのが4000人ほどまで落ち込みました。しかし、宗教的な面では地域の主要都市としてなおも繁栄し、それが現在にもつながっています。
天空の宗教都市として
クエンカの街は南北に1km、東西に300mほどの狭い崖上の土地です。キリスト教の司教座が置かれた後、そこに小さいながらも個性的な建物が林立します。
12世紀にゴシック様式で建築が始まりいまだ未完成のクエンカ大聖堂のほか、鐘楼の美しいエル・サルバドル聖堂、サン・ミゲル聖堂、サン・ペドロ聖堂、ペトラス修道院、その隣の司教館、現在はホテルとなっている旧サン・パブロ修道院など、主要なものを上げるだけでも両手の指では足りなくなりそうです。
12世紀にゴシック様式で建築が始まりいまだ未完成のクエンカ大聖堂のほか、鐘楼の美しいエル・サルバドル聖堂、サン・ミゲル聖堂、サン・ペドロ聖堂、ペトラス修道院、その隣の司教館、現在はホテルとなっている旧サン・パブロ修道院など、主要なものを上げるだけでも両手の指では足りなくなりそうです。
イスラム教から国土を取り戻したキリスト教の布教の最前線という理由もあるでしょうが、断崖の景観が神々しさを感じさせるために、このように強いメッセージ性のある都市景観が作り出されたのでしょうね。
クエンカのシンボル「宙吊りの家」
クエンカのシンボルといえばウエカル川沿いに建つ「宙吊りの家」と呼ばれる建造物群です。建築年は古く、14世紀にさかのぼります。8軒建てられた王家の別荘のうち、5軒は崩落し、3軒が現在も残っています。住民が増えるにつれて狭い土地に建物を建てる余裕がなくなっていき、結果として崖のすぐそばに建物を建てることとなってしまいました。18世紀までは市庁舎として使われていました。
見る角度によるとまるで空中に浮いているように見えることからその名が付きました。「魔法にかけられた都市」の名前の由来にもなっています。崖にせり出したバルコニーは20世紀に修復されたときに増設されたものですが、宙に浮いている感覚を味わうことができます。
現在はスペイン抽象芸術美術館とレストランが併設されていて、クエンカ一の観光名所となっています。
見る角度によるとまるで空中に浮いているように見えることからその名が付きました。「魔法にかけられた都市」の名前の由来にもなっています。崖にせり出したバルコニーは20世紀に修復されたときに増設されたものですが、宙に浮いている感覚を味わうことができます。
現在はスペイン抽象芸術美術館とレストランが併設されていて、クエンカ一の観光名所となっています。
世界遺産と宗教の街
17世紀から19世紀にかけて建物の老朽化が進み、一部では取り壊しもあったクエンカでしたが、20世紀に入ると伝統的な街並みを文化財として保存する動きが高まり、歴史的な建物の修復が行われます。
そのかいもあり、1996年には「歴史的城壁都市クエンカ」として世界遺産リストに登録されます。12世紀から18世紀までの各年代の、断崖の狭い土地を利用した特徴のある建築物が良く保存されていることと、断崖に密集して建ち並んでいる景観そのものが評価されてのことでした。
そのかいもあり、1996年には「歴史的城壁都市クエンカ」として世界遺産リストに登録されます。12世紀から18世紀までの各年代の、断崖の狭い土地を利用した特徴のある建築物が良く保存されていることと、断崖に密集して建ち並んでいる景観そのものが評価されてのことでした。
また中世から続く宗教都市としての一面も衰えていません。イエス・キリストの復活祭の一週間前に行われる聖週間の催し物は、キリストの生涯をドラマティックに演出する劇や宗教音楽祭などとても盛大なものになり、小さなクエンカの街が市民や観光客で埋め尽くされます。すばらしい景観とも相まって、クエンカには人をひきつけてやまない魅力が秘められているのでしょうね。
壮大な歴史を感じて旅をしよう
いかがでしたか。ただ息を呑む絶景に心焦がすだけではなく、その背景にある歴史を簡単にでも理解することで、世界遺産巡りはより楽しくなります。歴史的城壁都市「クエンカ」への渡航をぜひご検討ください。
photo by iStock




