みなさん、どうも僕です。
先日、大阪は上新庄にお住いのキャバ嬢・ゆうなさんからお手紙を頂きました。
ゆうなさんは地方出身者らしいのですが
大阪人が使う「自分」という言葉がどうも慣れないって言うんですねぇ・・
「自分なぁ、エエ加減にしときや!!」とかいう風に大阪人は使いますね。
でも言われてみたらたしかに自分自身を指し示す言葉「自分」が相手に向かって使われてるのはヘンですよねぇ。
あれこれ調べてみたら実は日本語ってヘンなことばっかり!
今日はこの「自分」をはじめとする相手を言い表す二人称、そして日本語の不思議なところについてじっくり考察してみたいと思います!
Contents
日本語の二人称の特徴
日本語には明確な二人称は無い?!
英語には明確に相手を表す、すなわち二人称って「YOU」がありますよね!
ジャニーズ事務所の会長、ジャニー喜多川氏が日本で唯一、「YOUは・・」って使ってますが、日本語の場合、「YOU」にあたる言葉ってあるんでしょうか?
実は日本語にはこのYOUにあたる明確な二人称がないんですよねぇ~。
え?「あなた」があるだろうって??
現代で一般的な二人称を表現する言葉として認知されている「あなた」ですらも本来「あちらのほう、彼方(あなた)」を表す方向、場所を指し示す言葉であって、相手の人物を表現する言葉ではありません。
日本語では明確な二人称がないがために方向、場所を表す代名詞の転用がしばしば行われてきました。
現在、日本で二人称として捉えられている言葉を挙げてみると
あなた、御前(おまえ)、そちら、君(きみ)、貴様(きさま)、おのれ(おんどれ)、ワレ(関西弁?)、てめぇ(手前)、お主・・・
いっぱいありますねぇ!!
日本の二人称の種類
では、現在の日本で二人称代名詞として捉えられている言葉を列挙してみましょう!
場所、方向をあらわすもの
- あなた あちらのほう、彼方をあらわす言葉
- そちら 「そちら様」なんて使い方しますね!なんか他人行儀です。
- おたく 「お宅」ですから元々は住んでいる住居を言い表す言葉です。何かに熱中している人同士が「おたく」と呼び合ったことから、現代では「オタク」という言葉ができてます。
相手に敬意を払った呼び方(今ではなぜか乱暴な言い方に・・)
- おまえ(御前) 「おんまえ」とも読みますが、「神のおんまえに・・」の「おんまえ」です。本来、神仏の前にいる人、つまり貴い身分の人を表します
- 貴様(きさま) 武家の書簡でも使用されていた言葉で、相手に敬意を払った呼び方。一般庶民の間でも相手を呼ぶ際に使われるようになって、敬意がどんどん薄れていった。
- てめえ(手前) 本来は相手方の手前にいる人物、つまり自分自身を謙遜して言い表した一人称だが、転じて相手を示す二人称として使われている。こちらも貴様同様に、現代ではケンカを売る言葉に成り下がってますね。
- われ(我) 「ワレ、何ぬかしとんじゃ!!!」のワレです。これは関西弁ですが、東京でも「てめぇ、何言ってんだよ!!!」と言いますので同じ用法。「我」ですから本来は自分自身を指す一人称だったのが転じて二人称になってます。
- おのれ(己) 「おのれ―!!許さんっ!!」の「おのれ」ですね。これも一人称から転じてます。
こんなにあるんですねぇ!英語ならYOUで事足りるのにねぇ。
なんで、こんなにいっぱいあるの?って思いますが、それには理由があります。
日本語に二人称が使われない理由とは?
時代の移り変わりで言葉の意味が激変!
前の項目でも見てもらった通り、現代では二人称として捉えられている言葉、いっぱいありますね。
ただですね・・
おまえ!てめぇ!ワレ!おんどれ(おのれ)!
これ、ぜ~んぶ現代では相手を見下げた、ケンカを売るときに使う言葉ですね!!
これは使えません!使ったらアカン!
本来は非常に敬意の伴った言葉、代名詞であるはずなのに現代では相手を見下げた、罵るための言い方にまで落ちてしまっています。
このことを「敬意逓減の法則」(時間の経過に伴って敬意が減ってしまって乱暴な言葉遣いに落ちぶれてしまうこと)と呼んでおり、二人称として実際には使えなくなってしまうためにどんどん新たな二人称が代替的に増えていくっていう側面があります。
だから、どんどん二人称が増えていく・・(おまえ、そこんとこわかってる??)
日本にも「YOU」があれば、こんなに混乱することないのに・・どう思います?ジャニー喜多川さん??w
日本では相手のことを直接指し示すのはタブー
見てもらったように様々な変遷を経ながらも日本語にも二人称代名詞にあたるものはあるのですが、その中でも一番無難そうな「あなた」でさえ、使うのは憚られる(はばかられる)、つまりタブー視されている点は否めません。
生徒が学校の先生に向かって「あなたが先週出した宿題は・・」って言ったり、
部下が会社の社長に向かって「あなたが先日私に言った内容について・・」って言ってたら、
はたで聞いてる人は
「あ、あ、あ・・ヤバい、ヤバい」ってハラハラしませんか??
最も無難なはずの二人称「あなた」って言葉ですら目上の人には使えませんし、目下の人に「あなた」って使っても何か冷たい印象を受けますね。
日本語の場合は相手のことを直接指し示すのは暗黙的にタブー視されており、争いを避けるために「間接的に」言い表す言葉が多用されてきたってワケです!
日本語は立場、役割など「関係性」を表す呼び方をする
では日本語では相手の人物のことをどう言うかですが、固有名詞に「さん」を付けて「太郎さん」のように呼んだり、役職名や立場を表す言葉を付けて、「〇〇部長」とか「△△先生」と言ったような呼び方をします。
ある人が「〇〇部長」と呼んだ場合、呼ばれた側の〇〇さんは部長としての権限があることを表し、呼んだほうの人は「〇〇部長」に敬意を払っていることが簡単に見て取れます。
それ以外では「親族名称」というものもあり、息子が父親のことを「あなた」とは呼ばず、「お父さん」とか「パパ」とか呼んだりします。
これも家族という枠組みの中で、息子が父親のことを敬っており、父親は子供を庇護する立場にあるという「関係性」が呼び方で判断できると思います。
日本語では英語のような一元的、単一的な「YOU」以上に、人間同士の「関係性」が如実に表現されているのが大きな特徴です。
目下の人に尊称を使う??
日本語の不思議なところをもうひとつ紹介しておきましょう。
日常生活でよく使われてる言葉、こんな場面は珍しくないでしょう
2人の子供がケンカをしてて、お母さんが先に手を出した下の子に向かって
「お兄ちゃんに謝りなさい!」
って言葉。
コレって、本来おかしくないですか??
だってね、お母さんからしたらどちらの子供もいわゆる「目下」、けっしてお母さんの「お兄ちゃん」ではないです。
でも下の子から見たら・・ってことで「お兄ちゃん」って言い方をしてますね。
呼びかけている相手(下の子)にとって、指し示している相手(上の子)がどんな立場なのかを言い表しているワケです。
これは外国語にはない、日本語独特の表現方法です。
またはこんなケース、お母さんと子供が電車に乗っていて高齢の方が立っているのを見て、子供に向かって「おじいさんに席を譲ってね」という場面。
これも本来「おじいさん」ではないんだけど、親族と見立てた場合、どう呼べばいいかという観点で親族名称である「おじいさん」という言葉で言い表してます。
こういった使い方を「親族名称の虚構的用法」と呼んでおり、日本語の特徴の一部となってます。
英語だとどのパターンも「HE」(彼)で済むんですが、日本語だと「立場」、「年齢」などの関係性を言い表した表現方法を使います。
こういった面を見ていくと、つくづく日本語って不思議だなぁって思いますね。
まとめ
外国人が日本語を学ぶ際に「う~ん」って悩むところって二人称のところが多いでそうです。
たしかに英語ならYOUなのに日本語なら相手によって言い方も様々だし、どれを使えばいいか悩みどころですよね。
しかし見方を変えれば、人間関係を円滑に行うために先人がいろいろ試行錯誤を重ねてきた結果とも言えます。
現代人はこういった日常生活に必須の言葉について最低限のことはぜひ知っておきたいところです。





