トップ > 中日スポーツ > スポーツ > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【スポーツ】

[柔道]原沢久喜が銀締め 五輪史上初の全7階級メダル

2016年8月14日 紙面から

男子100キロ超級決勝フランスのテディ・リネールに敗れ、手を合わせて引き揚げる原沢久喜=リオデジャネイロで(今泉慶太撮影)

写真

◇リオ五輪 男子100キロ超級

 【リオデジャネイロ五輪取材班】2階級が行われ、男子100キロ超級の原沢久喜(24)=日本中央競馬会=は、テディ・リネール(フランス)に指導1差で敗れ、銀メダルを獲得した。女子78キロ超級の山部佳苗(25)=ミキハウス=は準決勝でロンドン五輪覇者のオルティス(キューバ)に敗れたが、3位決定戦でサイト(トルコ)に優勢勝ちして銅メダルをつかんだ。日本柔道のメダルは男女合わせて史上最多の12個。男子の全7階級メダルは世界初の快挙だった。

 闘いに勝って、試合に負けた。男子100キロ超級で原沢が臨んだリネールとの決勝。開始8秒、不利な組み手を嫌った原沢が、首を抜いて逃げたとしていきなり指導を受けた。さらに指導1つが加わってリードが広がると、リネールは組み手争いを放棄し、ひたすら勝利だけを目指した。

 原沢が絶対王者を追い回し、指導1を奪い返したが、5分で仕留められずに惜敗。「組んで入れるチャンスは何度かあったが、なかなか入らせてもらえなかった」。原沢がしゃがみ込んで悔しさをこらえる一方で、遠慮なく喜びを表したリネールに、観衆は大ブーイングを浴びせた。

 「打倒リネール」こそがこの階級の宿命だった。4月29日に原沢が代表に選出されると、重量級担当の鈴木桂治コーチや2年続けて世界選手権決勝で敗れた七戸龍(九州電力)、原沢の恩師である日大の金野潤監督ら日本柔道界が結集。組み際の足技、帯を持っての大内刈り、共倒れからの絞め技は山下泰裕強化委員長が自ら実演もするなどして原沢を支え、原沢自身も意気に感じて稽古に没頭した。

 山口・早鞆高1年時は体重わずか66キロ。「普通に弱かったし、そんなやる気もなかったんで、高校卒業したらやめようか」と思っていたが、大学、社会人と進んで、昨年4月の全日本選手権で初優勝したことで「世界」に急接近し、実績豊富な七戸を逆転する形で代表へ。世界選手権決勝でリネールに2度屈してきた七戸の思いも背負ってリオの畳に立っていた。

 「本当は金メダルが欲しかった」。頂点までの距離に手応えがあったからこそ、悔しさが募る。だが、原沢の「闘い」は日本柔道復活の兆しとして、人々の記憶に残るだろう。 (福沢和義)

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ