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 平和、原爆。大切だけど、どこか遠いテーマだと考えていた人たちが、被爆体験の継承活動に加わり始めている。そして今感じている。もっと多くの人に関わってほしい、と。

 福岡市内で6日に開かれた平和を考える催し。福岡市原爆被害者の会の朗読グループ「さざなみ会」のメンバー5人が壇上に上がった。その一人、山口由美さん(38)は、広島で20歳の時に被爆した男性の言葉を読み上げた。

 《生き残った私たちが、当時の悲惨なありさまを後世に伝え、一日も早く平和が訪れるよう頑張っていきたい。》

 この場に一緒に並び、自らの被爆体験を語るはずだった福岡県内の80代の男性は7月、亡くなった。核兵器廃絶を求める署名用紙を入れた大きなリュックをいつも背負い、バス待ちの間にも署名を呼びかけていた。山口さんは、そんな姿を思い出しながら朗読した。

 山口さんは市内で高級チョコレート店の店長を務める。祖父母も両親も被爆者ではない。30歳のころ、何かボランティアをしたいと考えたとき、ふと小学校の平和教育で、原爆投下の映像がショックで号泣したのを思い出した。

 福岡市原爆被害者の会に電話し、その後、さざなみ会に誘われた。「平和への思いを語り継ぐすそ野が、さざなみのように広がりますように」。中村国利会長(72)が名付けた会には、誰でも参加できた。

 被爆体験を声に出してみると、…

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